2018年12月5日
――今後進出してくる日本企業が注意すべき、認識すべき点を教えてください
マック・ブラタナ 近年、外資系企業の倒産や撤退が増加し、本来労働法に基づき支給されるべき退職金が支給されずに企業が撤退をしてしまうという事例が問題となっていました。また有期雇用契約であれば退職金受給の権利があり、無期雇用契約の場合は権利に関して明確に規定されていないといった不平等な制度となっていました。これらの問題を解決するため、カンボジア政府は、退職金の前払いを企業に課すという法令を発行し、2019年より施行されます。まだ実務上の取り扱いに関して不明瞭な点が多いですが、最低賃金の上昇だけではなく、このような別の形でも労働コストが増加することがあるという旨には留意が必要です。
――カンボジアの税制で新たな動き等が有れば教えて下さい
ドゥク・ダリン カンボジアの税制は、具体的な新しい法令が発行されたり、大きく変更されたりといったことはありません。ただし従来あった税法で、重要視されていなかったものの徴税が強化される傾向にあります。中でも2011年から適用開始となった固定資産税は、個人も対象になるということから、税務局の思った通りに徴税が進まず、毎年納税しなければ罰金を科すといったアナウンスを行っています。また、企業のロゴや看板に対して課される印紙税に関しても、今年から徴税を強化し、課税対象外であっても申告は義務付けるなど、管理を強化する傾向にあります。将来的に遡って罰金といったことが無いように、常に情報更新を行うことが重要です。