2018年2月26日
(前回の続き)
――アウトソーシング事業を行う御社ですが、始めたきっかけは何だったのでしょうか?
サンドラ・ダミーコ(以下、ダミーコ) 2005年にアウトソーシング事業を開始しましたが、HR会社としてのフルサービスを行うという目的の下実施しました。しかし2005年から2010年までは、派遣スタッフを必要としている企業は多くありませんでした。その中でも続けていく中で、徐々に派遣スタッフを必要とするクライアントが増えていたのを感じていました。マーケットが多様化していく中で、様々な業種のスタッフが必要になると思います。そのためアウトソーシングは非常に重要になると思います。
例えば、大企業がカンボジアでのプロモーションイベントを行いたい場合、プロモーションレディの派遣が可能です。ドライバー、クリーニング、受付、セーフティ、マーケティング、セールスといったあらゆる派遣スタッフをそろえています。
アウトソーシング事業は全業界に亘りご利用頂いています。民間企業も然り、NGOや大使館などの政府系機関にもご利用頂いています。
――アウトソーシング事業で、カンボジア人がやめてしまうといったことは起こり得るのでしょうか?
ダミーコ 弊社は、良い賃金を支払うことを重要視していますが、もちろん成果を求めます。私たちは品質とサービスの提供に重点を置いているため、離職率は非常に低いです。これはアウトソーシングでも同様です。アウトソーシング事業を高コストで行うのは非常に難しいことですが、弊社は最低賃金でのビジネスは実施しません。
リクルートメント事業においてもアウトソーシング事業においても、スタッフの成長を重視しています。派遣スタッフもアウトソーシング事業の中で昇進可能ですし、HRインクの事業にも参加可能です。そのため、後に彼らには他の道が拓けてきます。彼らにクリエイティブの機会を与え、成長、教育の機会を与えることを大切にしています。
最低賃金で最低のサービスは、クライアントも喜びませんし、スタッフのためにもなりません。弊社はここを明確にしています。
――カンボジアにおける人材向上に何が求められると思いますか?
ダミーコ 決して1つの物事で解決できることではないと思っています。人材向上に重要となる要素を3点挙げたいと思います。
まず、政府です。政府が企業に対し、人材への投資を促進することが必要です。政府は民間企業からの投資を誘致する役割を持っています。カンボジア全体の経済戦略の一つとして考えなければいけません。
2点目は、企業です。企業は人材に投資しなければいけません。多くの業界が、人材への投資に十分重きを置いていないと思います。しかし、企業は労働力への投資に関心を持たなければいけませんが、政府の教育センターの設立も大きな原因です。官民が共に協力できるエコシステムが重要です。
3点目は、従業員です。カンボジアの若者が多くアクセスするYouTube、電話、インターネットを利用した勉強ができるはずです。今では、なんでもインターネットで学ぶことが出来る社会になっています。若い人々だけではなく、年齢層高い人々も同様です。人生において、学ぶことを止めてはいけません。アクセスしやすい環境です。
誰もが人材に関心を抱き、責任を持つことが必要です。
――人材の向上にどのように貢献したいと考えますか?
ダミーコ 弊社の事業は、全て人材向上に関わるものだと思っています。政策レベルにまで貢献していると思っています。また、人々を訓練することは大変なことではありますが、訓練機関に送り出し、自己発展も奨励していきます。
――今後の事業展開について教えてください。
ダミーコ 私は、人材業界に対して非常に楽観的です。
今後更に他国から企業が参入してくると思いますが、大企業にとって弊社のような地域的な企業が重要になってくると思います。弊社はミャンマーにオフィスを構え、ラオスにも今年支店を開設予定です。ベトナムといったアジア地域の企業とも提携を組んでいます。アジアにおける拡大を目指していきたいと思っています。(取材日:2017年8月)