2018年1月26日
―自己紹介をお願い致します。
ホン・ソク・ホー(以下、ホン) ホン・ソク・ホーと申します。カンボジア証券取引所(CSX)のCEOを務めています。CSXのCEOとなる前は、経済財政省の職員として働いていました。
――CSXの役割について教えていただけますか。
ホン CSXは、カンボジアにとって初の、そして唯一の国営の証券取引所です。CSXは、市場オペレーター、清算オペレーター、そして預託オペレーターを管理するという3つの役割があります。
――カンボジアには現在、証券会社がいくつあるのでしょうか。
ホン 現在、私たちのメンバーとなっている証券会社は10社あります。証券会社には3種類のライセンス業務があります。引き受けおよび売り出し(アンダーライター)業務、委託売買(ブローカー)業務、自己売買(ディーラー)業務です。このうちの6社はアンダーライター、1社はディーラー、そして残りの3社はブローカーです。
――CSXへの上場基準を教えてください。
ホン 「メインボード」と中小企業向けの「グロスボード」の2つの市場があります。メインボードには700万~750万ドル、グロスボードには少なくとも50万ドルの株主資本が必要とされています。
――グロスボードが始まったのはいつでしょうか。
ホン 2016年に始まりましたが、今年になって、カンボジア証券取引委員会(SECC)から追加されたいくつかの規則を施行しました。実際には、グロスボードは取引をおこなう準備が整っており、企業は上場の申請をすることができます。
――CSXにはいくつの企業が上場しているのでしょうか。
ホン 現在、上場企業は5社あります。プノンペン水道公社、グランドツイン・インターナショナル社、プノンペン自治港、プノンペン特別経済特区、シアヌークビル自治港です。私たちは、より多くの企業の上場を呼び込もうとしているところです。
――上場企業の数が5社という現状は、当初の目標と比較してどのようなものでしょうか。
ホン 私たちは5年前に取引を開始しているにも関わらず、年間の上場企業数は平均して1社ずつに過ぎません。この数字に満足している人は誰もいないでしょう。ですから、私たちは上場企業を増やすためにさらに努力する必要があります。
――上場企業を増やすためにはどのような対策をとるべきだとお考えでしょうか。
ホン 私たちは、企業を取引所に上場させるにあたり、多くの障害に直面しています。そのうちの一つは、上場を希望する企業に対し、上場の準備が整った状態にすることです。企業は会計帳簿を整理する必要があり、必新規公開株(IPO)とCSXへの上場要件を遵守するために、すべての企業構造を準備する必要があります。正式な上場企業になるためには、追加的な措置を講ずる必要がある場合もあります。すでに上場している5社は、これらの要件を満たすために多くの時間を費やしてきました。私たちは昨年、上場を検討している企業に対して、上場への過程の多くを協力してきました。上場を希望する企業の申請準備が整うと、私たちはSECCとともに、より協力して企業の上場を達成しようと取り組みます。つまり、多大な努力が必要とされています。
また、私自身も、企業と協力的な関係を築こうと努力し、若者たちにビジネスを始めることを奨励しています。私は、若者たちと外国の潜在的な投資家たちとを結びつけるために動いています。彼らが上場の過程を理解し、他人からの出資で会社を設立するという概念を促進したいと考えています。こうすることで、上場企業を経営することに対する自信が高まるだけではなく、資本のメカニズムの重要性をよりよく理解することができると考えています。
――上場企業が増えることで、カンボジアの経済や社会にはどのような影響があると予想されていますか?
ホン カンボジアのほとんどの地元企業は、自己資本や家族からの投資などの伝統的な資金調達で事業を開設し、運営しています。この限られた資金調達の方法では、ビジネスの成長速度は非常にゆっくりしたものになるでしょう。しかしここ数年の間に、若者たちが他人の出資でビジネスを始めるようになってきました。私たちは、こういった成功の重要性を人々に理解させるよう努めていきたいと思っています。
――現在、株式が取引されていない日もありますが、その理由をどのように分析されていますか。
ホン かなり頻繁におきていますね。日々の取引を行なうための十分な株式がないので、取引所は活発ではありません。より多くの企業が上場するにつれて、取引の頻度は改善し続けると考えています。
――CSXは、中小企業の上場を促進するために、どのような対策を講じていますか。
ホン 昨年、中小企業の上場を支援するため「グロスボード」を立ち上げました。 また、企業がIPOや上場への過程に対し、より効果的なサポートを行なう教育プログラムを導入しました。例えばそのうちの「上場誘致プログラム」は、企業の経営者が株式市場をよりよく理解し、それらの企業を会計事務所、法律事務所、アンダーライターを行なう証券会社といった関連性のあるもっともな機関と結び付けるのに役立つような内容となっています。
(次回に続く)