2017年8月10日
――自己紹介をお願いします
大西義史(以下、大西) 日本では本田技研工業株式会社で、学校卒業後から定年退職まで勤めました。定年退職したのは2015年12月です。第二の人生は仕事をするなら人材育成に強く関わりたいと考えていた折り ご縁が有りCJCCの存在を知りました。
CJCCの仕事が途上国の方の夢を育て実現の後押しをするいう内容だったため、興味を持ったんですよね。その後2016年の3月に一度現地を見てみようとカンボジアを訪れ、施設見学や職員・関係者の方々にお会いしました。
その時に、ちょうどCJCCで就職フェアが開催されていて、学生や企業、CJCCの皆さんと話をする機会を得る事が出来ました。学校の施設もまだ充実しておらず、日本に比べて恵まれない環境。しかしそんな中一生懸命勉強している若者たちに触れ、出来れば定年退職後ゆっくりしようと思っていたんですけどね。現地の方々と一緒に悩み考えて、共に成果を上げたいなと思いました。
ホンダは、自動車やバイクを作る企業ですが、自分自身はずっと社内のITシステムに携わっていました。ちょうどITが、社内の業務改革の大きな柱になると言われていた時期です。入社時にはITは便利な道具、定型業務を効率化するものだったんですが、段々日の目を浴びるようになり、組織が急激に大きくなったんですね。そこで組織運営の大切さを学びました。
従来の10人程度、家族経営的な部署が、200人を超えるような部門になっていく中、どうすれば良い仕事ができるだろう。数が増えることによりネガティブな部分も出るため、それを抑えながら、人数が多いことの相乗効果を発揮できないかということを勉強し、工夫しました。また、社内に素晴らしい先輩方、仲間が多くいらっしゃったので、その方々にも教えて頂いて、大規模組織の運営、人の能力を活かす組織運営を学んだ部分もあります。今回はそれを活かしたいと思っています。
――組織の紹介をお願いします
大西 CJCCはカンボジアの王立プノンペン大学の一部である政府関係機関であり、産業人材の育成を目的に事業主体はカンボジアでJICA、国際交流基金が協力し運営しています。またCJCCの運営経費の一部をJICAや国際交流基金が負担しています。今後も日本からの協力を受けながら、カンボジアで優れたビジネスマン、あるいは企業家を創出するというのがミッションです。
また、先ほど申し上げた通り日本も費用を負担していますのでカンボジアに進出する日本企業に対しても、適切な産業人材を供給できる組織にしたいと考えています。
この建物は2004年に、日本の無償資金協力という形で建てられました。設立後13年になり、JICAとしては5か年プロジェクトの今は第3プロジェクト目です。3年目が終わり、これから4年目・5年目を迎えるところですね。私は、その第3プロジェクトをまとめる役割です。
第3プロジェクトは、第1プロジェクトで日本語や文化交流を通じて相互理解を進め、第2プロジェクトでそれを進化させ組織の自律運営強化を図り、現在はビジネス人材のネットワークを作りましょうという段階です。人材は集まることによってさらに新しい価値を生み出します。OBや企業経営者のネットワークハブとしてカンボジア進出を検討する日本企業や日本企業と仕事をしたいカンボジア企業が出会い、協業出来る機会を作り、日本とカンボジアがさらに友好的な関係を築くことに貢献したいと思っています。
――その他、取り組まれている内容があれば教えてください
大西 もともとCJCCの基本的な機能として、日本語研修、文化交流、ビジネス人材の育成があります。日本語を学び、日本文化を伝え、逆にカンボジア文化もCJCCを通して伝える。また、日本式経営を伝え、カンボジアの風土に合った新しい経営スタイルを確立するという、この3つを柱としています。
日本とカンボジア、もちろん西洋もですが、言語と文化は近い関係にあると思います。それに加え、ビジネスマナーや日本式経営を教える。この3つは独立した分野ではなく、少しずつ重なり合っていますね。なぜ日本が戦後、また震災後も栄えているのか。その根底にあるものは人間尊重です。それを伝え、CJCCも実践することで、両国の友好関係がさらに深まればいいなと思っています。
――現在、生徒は何名いらっしゃるのでしょうか
大西 昨年度の日本語コースは54コース、1056名。ビジネスコースは39コース、1162名の学生がいます。2日間や半年間など、コースの期間設定は様々で、企業に出かけて研修するコースや、起業家コース、日本式経営を学ぶコースやお客様のニーズを伺ってテーラーメイドで研修内容を創りこむプログラムもあります。
文化交流でいうと、今年2月に開催された絆フェスティバルは2万1000人の参加者があり、5月のチルドレンフェスティバルが150名、7月の七夕フェスティバルで1500人の参加者を見込んでいます。目的は、日本人との文化交流を通して民族のお互いの価値観を理解し相互信頼を築くことです。
また面白い取組みとしては、豊富な教室数を活かし、外部の研修やセミナーに部屋を貸す、レンタルビジネスも行っています。土日も営業しているため、週末のセミナー開催などにも、好評を頂いています。(取材日:2017年4月)
(次回へ続く)