2016年9月20日
―――チレクさんはカンボジア不動産協会の副会長もされておられますが、簡単な自己紹介とセンチュリー21メコンのご紹介をお願い致します
チレク・ソクニム(以下、チレク) チレク・ソクニムです。センチュリー21メコンのCEOで、CVEA(カンボジア不動産協会)の副会長です。この業界で10年近くの経歴を持っています。特に不動産売買と不動産管理を専門としており、一部の鑑定も行っています。
センチュリー21メコンはプノンペンにある不動産仲介、つまり買取、売却、賃貸に焦点を当て、トンレバサックやコーピッチ、バンケンコンエリアのような特定エリアについて顧客にアドバイスをしています。顧客は不動産投資を考えるとき私たちにコンタクトを取ってコンサルティングを受けることができます。特に市場に出ていない、つまり所有者が売りに出すことを公表していない不動産への投資は市場価格より安く買えることもあるので大きな利益を得ることができます。すべての人が私たちにコンタクトを取ってコンサルティングを受け、詳細を聞くことができます。
―――カンボジアの不動産業界の現状について教えてください
チレク カンボジアの不動産業界のセクターは、不動産仲介業者、不動産開発業者、鑑定業者の3つに分けられます。
仲介業者は、不動産の売買に焦点を当て、顧客に対し不動産売買、投資についてのアドバイスを行います。私たちは土地への投資については長期間の投資を考えるように顧客に勧めています。土地を買って、ただしばらく持っておいて売れば、元の値段より高く売れます。これが一つ目です。
二つ目は、不動産開発。これはフラット、ビラ、複合施設のようなものです。不動産市場は、2008年の経済危機によって価格が下落し、カンボジアへの投資、特に銀行でローンを組んでいる人たちには大きな影響がありました。しかしカンボジアは自分の資金、つまり銀行の融資を受けないで不動産を買う人が多いため、経済危機に陥ってもそれほど影響を受けません。だから現在市場は少し競争が激しくなって、売れ行きが少し穏やかになっていますが、危機には陥っていません。
つまり顧客、バイヤーにはたくさんの選択肢があります。これはバイヤーにとって良い利益です。ここまでカンボジアでは、開発業者が建設を始めて売りに出せばたくさんの人々が買いました。でも今は違います。たくさんのディベロッパーが来て競争が激しくなり、価格、デザイン、創造性、居住環境などの観点から質の高いものが選ばれます。
チレク そしてコンドミニアムは非常に新しい市場です。建設が始まったのは2007年ごろで、現在非常にたくさんの、80から90ものプロジェクトが進行しています。シンガポールや日本、アメリカ、オーストラリア、台湾のような他の国々ではそうたいして新しいものではなく、人々はコンドミニアムに住む利点を理解しています。しかしカンボジアの高齢者の習慣や文化では、コンドミニアムに住むことを好みません。だからまずは人々にコンドミニアムにどういう利点があるのかを認知させる必要があります。
コンドミニアムの中にはフィットネスクラブやレストラン、スーパーマーケットやブランドショップ、駐車場、すべてが高いセキュリティとともにあります。これが利点です。そしてコンドミニアムがそれぞれ分かれた居住スペースを持っていることを理解していない人が多くいます。またカンボジアの文化は土地を持ちたがります。土地の上ですべてをしたいと考えます。だから現在のところプノンペンでコンドミニアムを売るのは少し困難を伴います。
現在までにコンドミニアムは20000ユニットがありますが、コンドミニアムを買う地元の人のほとんどは投資が目的です。外国人のようなコンドミニアムに住むことを好む人々に貸すのです。しかし3年後には若い世代が文化の変化を受け入れてコンドミニアムに住むようになるでしょう。
カンボジアでは、コンドミニアムは3つのランクに分けられます。グレードAの最高級コンドミニアム、グレードBの高級コンドミニアム、グレードCの標準コンドミニアムです。これらのグレードは1平方メートルあたりの価格によって区別されます。たとえばグレードAの価格は1平方メートルあたり3000ドル以上です。1800から3000はグレードBになります。1800以下はグレードCです。
現在のところカンボジアでグレードAのコンドミニアムは販売されていませんが、グレードAに住めるのはタイガーやコカ・コーラのような大企業のGMくらいでしょう。グレードBには多くの企業の上位役職の方が住みます。グレードCには一般的な企業の中間役職も住めるでしょう。これらのコンドミニアムが多くの変化、外国人投資家がカンボジアへの投資に感じる魅力を作り出しています。
―――コンドミニアムの過剰供給、2017年、2018年問題についてはどうお考えですか
チレク カンボジアは発展途上国です。コンドミニアムの建設は2007年に始まり、それらの建設が終わる2018年に多くの供給があるでしょう。コンドミニアムはカンボジアでは非常に新しいので多くの人が心配するのでしょうが、私はそれほど困難であるとは思いません。
カンボジアで困難なのは、開発業者がただプロジェクトを発表した時点で、多くの人々がデポジットを払って売買契約を結んでいる点です。だから開発業者は自分たちの資金ではなくバイヤーたちの資金を使うのです。現在と2018年ごろの人々は違っていると思います。開発業者は生き残りたければ70%はプロジェクトに投資するべきです。そうすれば開発業者はバイヤーへ多種の販売スキームを提案できるでしょう。
私は2018年にコンドミニアムが過剰供給になるとは思っていません。2018年の供給は20000ユニットです。20000ユニットというのは、供給過剰に思われるかもしれませんが、国際的に見たときには非常に小さな供給です。海外の企業からたくさんの外国人が来てカンボジアに住むようになれば、この供給は非常に限られたものになるでしょう。
しかし現在コンドミニアムを売るのは困難かもしれません。なぜなら多くの供給があり、バイヤーはプロジェクトを比較しながらどれがいいのかを選ぶ必要があります。今のところ、選ぶために十分な時間がありません。じっくり考えているうちに狙っていた物件を他の人が買ってしまいます。しかし現在はその速度は少し緩やかになっていますね。依然として困難ですが、まだ余裕があります。
開発途上国と先進国は違います。カンボジアのような発展途上国では、プレミアムコンドミニアムを最初に買うのはほとんど外国人です。約80パーセントが外国人に、残りの20パーセントが地元に人々に買われます。しかし10年もすれば、この数字は逆転するでしょう。地元の人がコンドミニアムの利点を理解して、コンドミニアムを買う能力を手に入れ、投資の機会を目にすれば、彼らはコンドミニアムを買うでしょう。現在の文化はそうではありません。しかし10年もたてば若い世代はフラットに住みたがらなくなるでしょう。フラットに住むより、高級で街中にあるところを好むでしょう。(取材日/2016年4月)
(次回へ続く)