2015年12月8日
ANZグループは、大手格付け機関S&P社からAA-の格付けをもつオーストラリアで4番目、ニュージーランドでは最大の金融機関です。アジア太平洋地域を成長分野と位置付けて、いち早くアジア各国にも進出したアジアで最大規模の豪州系銀行です。現在アセアン10カ国中9カ国に拠点を置き、タイおよびミャンマーでも今年から営業を開始しています。
カンボジアには2004年に進出。ANZロイヤル銀行(ANZR)として45%の資本をロイヤルグループ、55%をANZグループが保有しています。実際の銀行業務に関しては、ANZグループの基準に合わせて行っています。カンボジアには16支店、約500人のスタッフがいます。
ANZRは大多数の多国籍企業、多くの現地大手企業の法人口座をお預かりしており、多くの日系企業の皆様にもご愛顧頂いております。
ジャパンデスクは、2012年2月から活動しています。日本人が直接日系企業の担当になるのは、当時はカンボジア4大銀行では初めてでした。今では多くの銀行でもジャパンデスクを開設して日本人を配している流れになっています。
特に日系企業の皆様にご愛顧頂いている理由は主に3つです。
1つは親会社であるANZグループが世界でも約10数行しかもたないAA格付けをもっていること。
お客様の本社や地域統括がある日本、シンガポール及びタイにも当行の拠点があり、国際的なネットワークがあり、かつロイヤルグループをローカルパートナーとしている為、現地のネットワークも期待して頂けること。
またカンボジアで唯一、国際基準のセキュリティを備えた法人オンラインのプラットフォームが使えるということです。日系のお客様の場合、設立段階であったり、複数の国を担当されていたり、カンボジア以外の国や本社に本格的な財務を置いていたりと、あらゆる状況でカンボジアへ進出されています。そういったお客様のあらゆる状況に応じ、本社や地域統括、出張先からの送金指示ができるという利便性があります。また、オンラインを使うと取引履歴を詳細に辿ることができ、監査にも非常に有効でもあります。
ANZRでは、入金の確認なども、オンタイムで確認でき、入金があったときに自動的にメールを送ることもできます。お客様のご要望にで出来るだけ応えるように、ミスや時間のギャップを減らすため、プロセスを自動化する流れになっています。カンボジアの中央銀行も半マニュアル化から少しずつ自動化がすすめられています。中央銀行と各銀行の手続きの速度が早くなれば、全体もより速くなっていくでしょう。
特に多国籍企業のお客様は、トレジャリングセンターで全体の財務管理をし、そこで通貨のリスクを管理しています。そのような国を超えた決済を緻密にコントロールしているため、着金などのタイミングは大変重要です。
カンボジアは、まだ多くの決済で現金と小切手が使用されています。法人口座も多くのお客様が小切手振出ができる口座をご利用されます。ただこの小切手がきれる口座は、日本でいういわゆる当座預金口座と全く同じものではありません。日本で行われるような審査や当座預金開設約定といったものはありませんし、小切手を切らずに現金引き出しが可能ですが、小切手を振出すことが可能で、利子はつきません。これも銀行によって特徴がありますが、当行では法人口座に通帳やATMカードはなくオンラインや支店での照会がメインです。
昨年にはカンボジア国内でマイクロファイナンスの機関と提携しました。当行は規模の大きなお客様が多いのですが、そういったお客様は地方のサプライヤーと多くの決済が生じます。当行は地方には拠点がないため、そこのサポートが薄くなりがちだったのですが、すべての州に拠点を有するパートナーの拠点を利用することで 同日着金の取引が可能になりました。
実際にお客様とお会いする時は、口座開設や日々のお取引の手続きに関することだけでなく、これからどういう事業をされていくのか、どのようなご苦労がおありか、といった事を必ずお伺いして、当行がもつネットワークや情報を共有させて頂けるように努めております。“リレーションシップバンク“を目指している当行は、お客様それぞれのビジネスを理解するということをとても大切にしており、常にお客様にとってパートナーでありたいと思っております。30行以上の金融機関がひしめくカンボジアで、どうしたらANZRならではの付加価値をお客様に感じて頂けるようになるか、日々皆様からのご指導ご鞭撻を頂戴する毎日です。
私自身は、約6年前に結婚を機に主人が赴任していたカンボジアに参りました。主人が勤めていたNGOで3年ほど働いておりましたが、もう一度営利企業に身を置いて、今後自分がどこに軸足を置くのか見極めようと思いANZRに参画しました。今までは経理の仕事を中心していて、お客様と直接接する機会は少なかったのですが、ANZRに入ってからは、国籍を問わず、様々な業種、立場の方とお話する機会を頂戴するようになりました。会社の次の戦略/社命を背負ってカンボジアでビジネスを始められる皆様は、大変強い気持ちを持ってこの国にいらっしゃいます。そしてカンボジアを知るごとに、その気持ちは大きくなっていく傾向があるように感じます。そのお気持ちと情熱を一緒に大切にし、共に歩んでいけるような銀行でありたいと思います。(取材日/2015年10月)