2012年4月に産声をあげたカンボジア証券市場。その後5年半が経過した現在、上場企業数はたったの5社。株式取引が成立しない日もあるほど市場には閑古鳥が鳴いている。 2006年から2007年にかけて大いに盛り上がった隣国ベトナム証券市場の「2匹目のドジョウ」にはなれなかったカンボジア市場。その要因は何か、そして今後活性化する可能性は?
今を遡ること12年前となる2006年、カンボジアの隣国ベトナムは突如として巻き起こった株式投資ブームに沸いていた。ベトナムの初の株式市場となるホーチミン証券取引所が開設されたのは2000年7月。上場企業2社で取引スタートした後の5年間、市場は伸び悩み、2005年末時点での上場企業数は5年経っても41社(ホーチミン証取と2005年3月設立のハノイ証取の合計)にとどまっていた。それが2006年に入り、外国人持ち株比率上限49%への引き上げ、ベトナム最大手乳製品メーカービナミルク等の有力国営企業が次々と上場、等をきっかけとして市場は一気に活性化する。
2006年初頭には400に満たなかったベトナム株価指数(VNインデックス)はみるみる上昇し、同年12月には800を突破。2006年末には上場企業数は193社、2005年末41社から約5倍に達し、時価総額は9兆ドンから218兆ドンと230%アップとなった(ドンはベトナム現地通貨)。
2006年当時、筆者はまさにその渦中にホーチミンを拠点にベンチャー投資ファンドの一員として活動しており、当時の熱狂ぶりはまだ記憶に新しい。VNインデックスは2007年3月に最高値1,129.32に達し、筆者が当時を振り返る際に「ベトナム指数三連峰」と称して話のネタとしている高値圏での乱高下の後、同年10月から一気に下げ、翌年6月には400を切り、9月のリーマンショックを機に更に大きく値を下げ、翌年2月には200近くにまで崩落する。プチバブルに沸いたベトナム株式市場は「三連峰時代」を前後して市場参加者に天国と地獄を味あわせる事となった。
本来カンボジア市場を語るべき本稿にて、長々と隣国ベトナムの株式市場の経緯に触れたのは、当時ASEANを眺めていた投資家の多くが、ASEAN後発新興国(カンボジア、ラオス、ミャンマー)の株式市場に期待していたのが、このベトナム株式市場の「三連峰時代」の再現だったからだ。しかし結果的に、後発新興国市場に「三連峰時代」はいまだ訪れていない。
米国発サブプライム問題の余波とリーマンショックの影響で、世界的にも投資・投機マネーが急速に冷え込んだ直後の開設となったために、ラオス、カンボジア、ミャンマーと続いたASEAN後発新興国の株式市場に資金が流入しなかった等、いまだ市場が活性化しない要因はいくつも考えられる。
一方、ベトナム株式市場をそれら後発新興国の株式市場のベンチマークとするのであれば、皆が熱狂した2006年~2007年の「三連峰時代」のみに着目するのではなく、同じく低迷が続いたそのスタート当初から眺めるべきという意見も聞かれる。この近隣の株式市場の歴史全体像をベンチマークと捉えれば、カンボジアはじめラオス、ミャンマーの株式騎乗の眺め方も少し変わってくるかもしれない。
昨今その存在意義そのものが厳しく問われている日本の農協は、戦前から戦後、そして高度経済成長時代、日本の農業発展に大きく貢献した農業組織でした。GDPの3割を占めるカンボジア農業の現況は、まさに農協を必要としていた当時の日本の農業の姿と重なります。
JCGroupは2008年創業以来の主要事業であるカンボジア農業に日本の知見・ノウハウを導入、「古き良き日本型農協」の機能をカンボジアに実現させ「Made by JC(Japan & Cambodia)」によるカンボジア農業の産業化に貢献することを目指しています。
http://jcgroup.asia/
早稲田大学政経学部経済学科を卒業後、日本の大手監査法人、戦略コンサルティング兼ベンチャーキャピタル(一部上場企業 執行役員)を経て、2008年カンボジアにて「JCグループ」を創業。日本公認会計士・米国ワシントン州公認会計士。
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