ベトナムの大手複合企業 THACO AGRI(タコ・アグリ)社 は、カンボジア北東部のクラチェ州およびラタナキリ州で農業事業を拡大し、約1万4000人を雇用する計画だ。事業はバナナ栽培と畜産が中心で、従業員の90%以上はカンボジア人となる見込み。
同社は2019年からカンボジアで農業事業を展開し、約8万4000ヘクタールで有機果物の栽培や畜産を行っている。スヌオル地区(Snuol)の施設では、バナナ栽培と畜産を統合した持続可能な農業を実施しており、ベトナム人の現地責任者は「牛の堆肥を活用した有機農法で高品質なバナナを生産している」と説明した。
今後はスヌオル地区でバナナ3000ヘクタールを追加栽培し、44カ所の新たな畜産場を設立する計画である。総開発面積は3万5390ヘクタール、投資額は12億9500万ドルに達する。スヌオル地区には4950万ドル、ラタナキリ州のコウンモム地区(Koun Mom)およびルンパット地区(Lumphat)には8億ドルが投資される。
雇用は2025年までにスヌオル地区で7500人、全体で約1万4000人が見込まれる。同社はまた、カンボジアの大学や専門学校と協力し、管理職を担う若手人材の育成を計画している。
同社は2018年に ベトナムを拠点とする大手企業グループであるホアンアイン・ザーライ(Hoàng Anh Gia Lai)とその農業関連子会社から土地を取得し、長期的な事業展開を進めてきた。カンボジア王立アカデミーの研究員は、「
この事業は地域経済の発展に貢献し、2025年末までに最大3万人の雇用創出が期待される」と述べた。
2024年1月から11月にかけて、カンボジアの生鮮バナナ輸出額は1億3871万ドルで、主要輸出先は中国(94.7%)であった。日本やベトナム、韓国、タイも主要市場として続いたが、総輸出額は前年同期比11.2%減少した。