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  • 2016年12月28日
  • カンボジアニュース

現金大国カンボジア 電子決済化の道に立ちはだかる壁[経済]

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(c)Phnom Penh Post

 カンボジアのEコマースが遅々として進まない中、国民の大半を占める現金払いで物を買い、銀行に預金をしていない人々に対して、ハイテク企業が電子決済ソリューションを開発し、Eコマースを推し進めようという動きがある。プノンペンポスト紙は報じた。

 デジタルメディア、エンターテインメント企業のサバイデジタル社長、マイク・ガードナー氏は、「同社で電子決済の受け入れを進め、2017年末には完全に現金払いから電子化を果たしたい」と話した。

 多くの通信会社やデジタルメディア企業の多くは、未だ現金での支払いに頼っており、電子化のために顧客にスクラッチカードを配布する代理店が必要だが、金融機関は好調な金融部門やデビットカードの拡大に目が向いており、電子決済化には消極的で、機会損失している(同氏)。

 ガードナー氏は中央銀行のデータを引用して、「150万以上のキャッシュカード(うち80万はアクレダから発行)があり、25億ドルが銀行に眠っている。それを解き放てばEコマースのための可能性は大きく広がる」と話す。



 アクレダは電子決済に積極的な銀行だが、その決済システムと企業のEコマースプラットフォームを統合するためのプロセスが極めて長く、多くの小規模企業にとっては技術的に導入が難しいものになっているほか、企業の低い金融リテラシーや代引き・着払いなど現金払いの発達が電子化の妨げとなっているという。

 現在ウイング、トゥルーマネー、イーマネー、ペイ&ゴーやスマートルイなど、いくつかの民間企業が現在オンライン決済化を進めようとしているが、これらのサービスの多くも、口座にお金を預けるための実店舗を必要としている。

 ペイ&ゴーはPCや携帯アプリでの支払いと同じく、キヨスク(売店)を通してローカルでの支払い・集金を可能にしているが、ほとんどのカンボジア人は電子取引がどう行われているか理解せず、電子決済に積極的な客は少ない。

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