カンボジアに進出する日系企業のための
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TOP INTERVIEW
トップが語る、カンボジアビジネス(2018/11月発刊9号より)
世界のビジネスエリートが、カンボジアで会計学校を運営する理由(2/2)
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カンボジア随一の会計学校として名を馳せるCamEdビジネススクール。米国コロンビア大学でMBAを取得した創業者ケーシー・バーネット氏を含め、マサチューセッツ工科大学やロンドン経営大学院など、世界でも名だたる大学出身の教員が揃っているのが特徴だ。今でこそ大学卒業の学位も取得できる同校だが、その始まりは18年前、企業の小さな会議室からだった。

カンボジアの会計士事情

益々大きくなるプロ会計士の需要、その理由とは

 採用の需要は増えており、会計系のコンサルティングファームだと1年に10-30名くらい採用します。うちの卒業生でも、新卒の子のほとんどがPwC・KPMG・E&Y・デロイトのビッグ4と呼ばれるカンボジア法人で働いていますね。

 しかしカンボジアの多くの企業は家族経営のため、会計を母や姉に任せるなど、適切な会計をしていません。全ての事業に会計が必要で、全ての組織に会計士が必要な中、カンボジアにプロの会計士が少ないことには、ポテンシャルを感じますね。また最近になってから、商業省も会計士の資格試験を厳しくし、国際基準に沿った会計を求めています。カンボジアでは、入社後に会計を学ぶという時間や習慣がないため、国際会計を専門に教える私たちの需要はさらに高くなるでしょう。

カンボジアで起業する際の注意点

カンボジアで起業をする際、外国人が直面しがちな壁とは

 カンボジアでビジネスする際に一番難しいのは、言語の問題だと言われます。この20年間、ミスコミュニケーションが原因で不満や混乱が生まれたのを他の起業家から聞きました。幸い私はクメール語が出来るため、その問題が無かったんです。カンボジアは、タイやベトナムに比べて英語を話せるスタッフが多いです。しかし彼らが、英語を話すことは私たちがクメール語を話すように気を遣います。やはり母国語の方が理解しやすいですよね。私の経験ですが、成功している人はクメール語をよく勉強しています。実はクメール語の発音はアルファベットに非常に近いです。書くのは難しいかもしれませんが、勉強していると読めるようにはなりますよ。

カンボジア人スタッフを成長させる秘訣について

 スタッフを成長させるために必要なものは、まず金銭的な報酬、そして出来ると信じさせることです。出来なければ解雇や報酬を下げるといった、ネガティブなモチベーションはカンボジア人にとっては有用ではありませんでした。カンボジア人は、元々フレンドリーで協力的な人々です。目的を説明し、教え、その上で後押しすることが彼らをさらにプロフェッショナルにさせる秘訣ですね。

最後に、将来のビジョンと読者へのメッセージ

18年間カンボジアの会計の歴史を見てきたバーネット氏の、思い描く未来とは

 専門的な学びの分野においては、質を上げることが大事です。そのため、将来はマスター(修士)のプログラムを作りたいですね。現在、MBAの需要なども増えてきています。それに備えて、校舎の拡張なども考えなければいけませんね。

読者へのメッセージ

 カンボジアは大きな可能性を秘めていると思います。20年前に比べ、建物は高くなり、人や物が道に溢れるようになりました。本当に、ここまでに至ったのは奇跡としか言いようがありません。またカンボジアの特徴として挙げられるのは、外国人にとって起業しやすい環境だということです。しかし制限はどんどん厳しくなっているため、政府の意向を更に注視しながら事業をする必要がありますね。

 また会計的なアドバイスでいえば、カンボジアで事業をする際はCIFRS(カンボジア国際財務報告基準Cambodian International Financial Reporting Standards)、もしくはCIFRS for SMES(中小企業向けカンボジア国
際財務報告基準)に準拠する必要があります。もしこれらに則って会計をしていない場合は、すぐにプロの会計士を雇い、この基準に倣いましょう。必ずあなたの事業の役に立ちますから!

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CamEd Business School
President
ケーシー・バーネット
Casey Barnett

米国出身。米国コロンビア大学でMBA取得した後、投資顧問会社やローファームで業務経験を積みカンボジアへ渡る。経験とスキルを活かし立ち上げたCamEdビジネススクール今年で創業18年目。インドシナ初のACCA(英国勅許公認会計士)認定校となるなど、国際基準に則ったプロフェッショナル会計士を育成する。


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