カンボジアに進出する日系企業のための
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まちづくりひとづくり スペシャル対談(2017/11発刊7号より)
聞き手
ココチカムデザイン CEO
河内 利成氏

専門分野である建築でカンボジアを盛り上げたいと、2013年にカンボジアに進出。コンドミニアムから公共施設まで幅広く手がけ、カンボジアを拠点にラオス、シンガポールなど、ASEANに活躍の場を広げている。大阪府出身の46歳。

今号の注目パーソン
株式会社ミドリテクノパーク 小林 聖一氏
ミドリ電機製造株式会社 有馬 隆氏

(小林)ミドリ安全勤続38年。先日定年を迎えミドリ安全グループ会社に在職。ミドリテクノパーク立上げ、ミドリ安全メキシコ工場2社の設立・経営の経験をもとに、カンボジア新工場プロジェクトに参画。東京都出身の60歳。
(有馬)ミドリ安全勤続35年。93年よりミドリテクノパークへ赴任し、取締役工場長を経て2014年にミドリテクノパークカンボジアを立上げ、社長を兼務。東京都出身の57歳。

 

「社会活動を通して、街や地域、そこに住む人々を元気にする」を、カンボジアに関わりながら実践する人たちをご紹介します。
弊社がプロジェクトマネジメント(PM)、設計・工事監理をさせて頂いた工場建設のお施主様、ミドリテクノパークの小林さん・有馬さんにお話をお伺いしました。宮城県白石市に本社を持ち、海外生産のため2014年にカンボジア進出。「いい工場をつくりたい」という思いを語って頂きました。
カンボジア進出まで調査に2年の時間をかけた

河内:いよいよPPSEZ内の工場が竣工しますね。弊社としても、PM、設計・工事監理者の立場で工場建設に携わらせて頂き光栄です。それでは最初に、会社紹介をお願いします。

有馬:ミドリ安全は1952年に創業し、安全靴やヘルメット等安全衛生保護具、ワーキングユニフォームや空気洗浄機等の環境改善機器など多くの商品を開発・生産・販売しています。グループ会社のミドリテクノパークは本社を宮城県白石市に置き、主にハンドル・ノブ用の皮革、空調用フィルターを取り扱っています。2014年にカンボジアへ進出し、最初はPPSEZ(プノンペン経済特区)内のレンタル工場から事業をはじめました。TOYOTAや日産、スバル系の革製ノブを製造しています。

河内: 3年前にカンボジアへ進出されたとのことですが、進出の決め手となったものは何ですか?

小林:元々、TOYOTAグループのお客様とお付き合いがありました。競合他社に勝つためには、海外生産が必要だと考え2012年より海外視察を行いました。ASEANの国々を周って調査しましたが、周辺国へのアクセスや納入の効率性、また賃金面などを考えて2014年にカンボジア進出を決めたんです。調査には2年の時間をかけ、10回以上渡航しましたね。
有馬:ミドリテクノパークの革製ノブ製品は、MM工法という接着工法技術を使用しています。カンボジアではMM工法のなかでも最先端の技術で製品を作っているんです。弊社独自の技術で世の中にはどこにも存在しないものです。最先端の技術で日本製の質のいいものをコスト的に安く提供できる、それが私たちの強みですね。

 

ポリシーは「従業員満足度」

河内:2年という時間をかけて調査されて、カンボジアのPPSEZを選ばれたんですね。何故PPSEZを選ばれたのですか?

小林:実は、都市から10kmしか離れていないので賃金高騰等について懸念していたこともあったんです。しかし、実際に何度も足を運び調査していくうちに、都市から比較的近くないと、良い従業員は集まりにくいということに気付きました。これは、ミドリテクノパークのポリシーでもある「従業員満足度」に繋がるんです。従業員の生活水準が下がるというのは、ある意味出稼ぎにしかすぎなくなるんですよ。そういう会社で長く働きたいと思わないですよね。工場管理者の目線で考えると工場で一番大切なのは社員なんです。この考え方は弊社の初代工場長からずっと引き継がれています。
東南アジアを何度も周りましたが、彼らは家族を非常に大事にしている。田舎から出てくる従業員は寮生活を本当は望んでいません。家族と一緒に居たい、家を守りたいと思っている彼らが満足して働ける環境を考えたとき、PPSEZのロケーションが合っていると思いました。良い工場には、自然と人が集まるんです。

 

その会社なりのデザインを

河内:なるほど、顧客満足と従業員満足の両立ですね。カンボジアは特に人が人を大事にする国なので、そのような環境であるほど、従業員もついてくると思います。「いい工場」というのはどのような工場ですか?

小林:いい工場、つまり従業員がここで働きたいと思えるようなかっこいい工場をつくりたかったんです。従業員が気持ちよく、そして誇りを持てるような工場にしたいと常に思っています。工場建設にデザインは必要ないという考えでは、到底いい工場をつくることは出来ません。
「企業は人なり」まさしくそう思います。例えば、本社のオフィスビルはモダンなデザインなのに、工場の外観は殺風景だったり、かっこ悪いことってよくありますよね。本社は事業をつくる場所、工場は物をつくる場所という目的主義的発想ではだめなんですよ。彼らにとっていい環境を作れるようにと考えていますが、もしかしたらたまに間違っていることもあるかもしれない。でもそのときはその都度変えればいい、やらなければ何も変わらないんです。私達は常に挑戦だと思っています。挑戦して、もしだめだったら他の方法を探す。製品づくりに対してもそういう思いを込めてきたから、今の製品が生まれたんです。

河内:なるほど。空間は人を創りますからね。いかに、従業員が環境に満足しながら生産性を高めて仕事をしていくか。それは工場という、彼らにとっての大事な建物にもよると思います。私も改めて、働く場について考えることができました。

小林:カンボジアで工場建設をすると決めたとき、人と人との個の付き合いから始めたいと思いました。顔が見えて、お互いを理解しあえる設計事務所を探していたら、河内さんに出会ったんですよね。フリーペーパーに河内さんの顔がいっぱい載っていて(笑)河内さんの言葉に共感したんですよ。何もないカンボジアで、いい工場というのを実現してくれると確信しました。公私を共にして、信頼感やポリシーに共感し、ベクトルが合っていると感じました。考え方を共有できる同志を集めたかったんです、個の光が集まったプロジェクトにするために。もしかしたら、工場らしくなく、無駄な作りと言われるかもしれない。でもそれでいいんですよ、その会社にはその会社の考えがある。なぜこのデザインになったのか、後に証明されると思っています。そのためにココチさんととことん話し合い、施主の思いを伝えることを第一に考えました。

河内: そうですね、公私も共にしましたね。私も宮城県白石市へ伺い、何度も顔を合わせました。白石市のカラオケも行きましたね(笑)
「緑育」をコンセプトに、デザインもこだわりを持ち、屋外にグリーンスペースを設けたり、内装はホテルのようなもてなしの空間をデザインしました。工場内には緑豊かな休憩スペースもあります。湾曲ガラスなどにもこだわりを持って、ミドリ安全さんのテーマカラーである緑を使用しましたね。
私たちは設計をするにあたって、それが何のために作られるのかというのを第一に考えています。その会社のブランディングのためにやってる。それがたまたま工場であったり商業施設であったり、ということですね。それでは最後に一言お願いします。

小林:従業員が満足して、幸せに働ける工場を目指し続け、今回PPSEZ内に工場建設を実行しました。ココチさんはプロジェクトマネジメント、設計・工事監理者として「かっこいい工場」造りに協力してくれました。これからも挑戦し続けることを忘れずに、世界に誇れる製品を発信・生産していきます。

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