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業界別インタビュー

2016年8月15日

仕事能力に注目して雇い、日本語は実務の中でブラッシュアップすれば良い[人材]伴俊夫 (3/4)

人材・コンサル

カンボジア日本人材開発センター CJCC
チーフアドバイザー: 伴俊夫 Ban Toshio
本田財団に在籍中、Y-E-S奨励賞という新たな事業を立ち上げた伴氏。実績を上げる人々の多くが高齢者だということに着目し、若い人の力をもっと発掘できないかとの想いからだった。インド、ミャンマー、ラオス、カンボジア、ベトナムの学生の中から科学技術の分野で最も優秀で志の高い人を選ぶ。この事業立ち上げが、教育省のピッチャナム長官との出会いにつながり、現在CJCCに伴氏がいるきっかけとなっている。(取材日/2016年2月)
人気の日本語学習コース

前回の続き
 日本語コースのほうも非常に伸びていて、常時約600人の学生さんが半年単位で学んでいます。王立プノンペン大学にも日本語学科がありますがそれは4年制の大学教育です。CJCCでは学位は出しませんので半年ごとに少しずつステップアップしていきます。非常に人気の高いコースですので、定員が募集開始から3日間くらいで埋まってしまいます。「まるごと」という国際交流基金が開発した新しい教科書および教授法を、活用しているのはカンボジアで唯一ここだけです。

 なぜこのコースが人気なのかというと、CJCCが日本語だけでなく日本の文化も日本流のビジネスも複合的に学べるセンターだから。それでCJCCで勉強したいという学生さんが多いんでしょうね。少し別の形の日本語教育として、日系企業が増えるにつれて企業の要望に合わせたオーダーメードのコースが非常に増えています。企業さまにいつも申し上げるのは、最初から日本語が素晴らしくできる人を雇いたいというご希望が叶うのはかなり難しいと言うことです。しかし語学習得能力は平均的に高いと言えるので、まずは仕事能力を中心に雇ってください、日本語は実務の中でブラッシュアップすれば比較的すぐにできるようになりますからとお伝えします。

 企業から要望があった場合は講師がそこに行って、そこに合わせた教育をします。たとえば幹部候補生を日本の本社と一緒に仕事ができるようにしたいというとき、幹部としての専門用語も含めた教育をします。また社内公用語は英語だけど、日本人も働いているので日本語を知りたいという要望をもつ従業員への福利厚生のひとつとして、漢字なんて覚えなくていいから話し言葉に特化して、普段の潤滑油になるような言葉を教えてほしいという要望もあります。最近ではカンボジアの企業にも日本語を学ばせたいところが増えています。

 あとは文化交流です。絆フェスティバル、七夕まつり、お月見まつりなどの大きなイベントを開催しています。学生を中心に非常に多くの方々が参加します。また普段はお茶、お花、日本料理などの文化教室も開催しており、日本語の図書なども借り出せる図書館も人気です。

これからの展望、取り組み

 今やセンターにたくさんの人がお越しになるようになり、皆さんにCJCCを知っていただきました。センターの自律運営のための資金面でもある程度健全に事業が回っていくようになってきています。設立後11年たちCJCCのコースを受けた後事業を興し、立派に育っているカンボジア人の起業家が何人もいます。

 そこで次にやっているのは人材開発に加えてネットワークの拠点になることです。人材というのは作るだけでなく活用することが大切です。日本のビジネスマンとカンボジアのビジネスマンが出会える仕掛けを作る役割をCJCCが担って行きます。この活動の総合プラットフォームとして去年の12月、「カンボジア・ジャパン・アソシエーション・フォー・ビジネス・アンド・インベストメント(CJBI)」が設立されました。日本語では「カンボジア日本経営者同友会」、つまり企業経営者の集まりとなります。カンボジアにもいろいろな経営協会がありますが、これはカンボジアと日本、そしてビジネスの人と人をつなぐものです。現在内務省に正式登録を申請中です。

 新しいビジネスアソシエーションなのでまだコアメンバーしかいませんが、これから両国ビジネスに真に役に立つものにならなければなりません。会長はアクレダ銀行の会長のイン・チャンニーさんです。日本側トップとしては篠原元大使が副会長を引き受けて下さいました。これから順次会員を増やして良い活動が出来る会にしていきます。これはCJCCに従属しているものではなく独立したビジネスアソシエーションです。でもCJCCが事務局としての役割を果たしJICAがこれをサポートします。JICAのプロジェクトの一環として、単なるビジネスアソシエーションではなく日本とカンボジアの人材が繋がっていけるネットワークの基盤を作っていきます。

 ここにいろんな事業が乗っかっていく予定で、一つすでに始まっているのは奨学金プログラムです。企業が社会貢献事業をやるためのプラットフォームにもなるようにしています。カンボジアの大学生には、生活に困って途中で辞めざるをえない人がたくさんいます。そういう若者たちを支える事業です。それから2月には、CJBIは関西経済同友会と交流会を持つ予定です。このように日本のビジネスアソシエーションとも交流の土台になります。このような交流から、ビジネスやテクノロジーのマッチングに将来広がることを期待しています。

 まずは日本とカンボジアの二国間が基本ですがアセアンには他の日本センターもあるので、そういうところともJICAを通じて繋がっていくことが出来ます。人材がネットワークされていくという面ではまだスタートしたばかりですが、CJCCにとってこれからの重要なテーマです。

日本型マネジメントのショーケースになる

 実はCJCCのホールやセミナールームの稼働率がほとんどいっぱいです。これをどうさらに価値のある活動にしていくかということ、すなわち量的拡大ではなく、もっとカンボジアと日本の両国の民間セクター開発に役立つように、より効率やサービスの質を上げるという方向に行くというのが課題です。そのためにもセンター自体のマネジメントがうまくいかないといけません。カンボジア人のマネジメントチームが今頑張っていて、それを我々もサポートしていきます。CJCCはJ-マネジメントすなわち日本型の経営スタイルで経営されており、まだ途上ですが、カンボジアの中でこのセンターがJ-マネジメントのショーケース、出来ることならマスターピースになることを目指します。

 したがってCJCCの中間管理職層はみんな若い人ですが現場で力をつけ、どんどん中でキャリアステップを上げて行きます。もちろん現在の70人程度の規模ですとキャリアステップそんなに十分になく、一生ここで働いてもらうというわけにはいかないため、ある程度育ったらもっと次の、先を見た転職をされるのは仕方ありません。そうやって人材が育ってくれるならカンボジアと日本の両国のためになるはずです。

 基本の考え方は、たとえば中間管理職がやめたときに組織の中から次の人を上げることです。CJCCでは下からだけでなく横のローテーションもあり、常に人が内部で流動するようになっています。その結果、視点の高いマルチスキルの人材が育ちます。もちろん辞める人はいますけど、日本に留学するなどのケースが目立ちます。どんどんスキルが上がり自分が育っているという実感が持てているあいだは、従業員の多くはなかなか辞めないと思います。

 先ほど話した三本柱もバラバラではなく相互依存して、相乗効果を高めていく運営をしています。一例として、3つの部門が一緒にやっているコースがあります。この「ベーシックビジネスマナー」というコースは、日本語だけでなく、ビジネスの基本の心得や日本のマナーなども教えます。CJCCのマネジメントは、従業員が常に一体感を持ち、みんながどうやってもってモチベーションをあげ、どうやって若い人の力最大にするかということを考えながらやっています。そのため組織の一体感を醸成するため全員が一つのファミリーというポリシーを採っています。これはある意味とてもカンボジア的だけど、日本のいいところとカンボジアのいいところを融合させた運営の一例と言えると思います。(取材日/2016年2月)(次回へ続く


カンボジア日本人材開発センター CJCC
事業内容:人材開発等
URL: http://www.cjcc.edu.kh/
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