2015年7月3日
――クィさんと、会社の紹介をお願いします
クィ・ヴァット(以下クィ) 私は仕事の傍ら、社会活動としてカンボジア投資クラブの代表をしています。200人の会員がおり、7割がビジネスマン、3割がCEOという構成です。恐らくカンボジアでは初の団体であり、高い意識を持った若者の活動をサポートもしていて、必要に応じて政府との橋渡しをしたりもしています。そんなこともありまして、現在は不動産関係やIT、その他様々なビジネスに関わっています。
実は、我が社は設立当時はIT関連での企業でした。また、飲食店を経営していた時期もありましたが、その後不動産へと参入したんです。CSX上場のお手伝いをすることもありますが、現在は不動産が主になっており、昨年からはセンチュリー21のカンボジア代理店も請け負っています。ここ10年ほどは物件のマネジメントをしていますが、150社ほどにご利用いただいています。あとはカンボジア初ではないかと思われますが、不動産査定も行っています。
――業界を取り巻く環境についてご見解をお聞かせください
クィ 振り返ってみますと、2008年から3、4年間は、世界の経済危機のさなかで、当然のごとくカンボジアも影響を受けました。大国は経済が回復するのにも時間がかかるようですが、我が国は未発達な国ということもあってか、経済状態が回復するのにそう時間はかかりませんでした。政府がオープンなこともあり、小国でもやりやすいと感じます。2008年頃は中韓の投資のみでしたが、現在は日本やシンガポールなども参入しており不動産業界は活発になってきています。
――最近の建設ラッシュについて、将来の供給過多を不安視する人もいますが
クィ よく聞かれます。個人的には心配ないと考えています。ただ投資割合が上昇しているのは事実です。新規投資は8割くらい上昇しているのではないでしょうか。政府がオープンなので世界中の大企業が比較的容易に参入できます。私が心配しているのは出来上がってくる箱と投資と利用者の3者のバランスです。最近は競争率が高いので資本比率が高いなら維持もできますが、体力が無い会社は厳しいと思いますね。大きな会社であればだいたい3~5年のスパンで投資しているようです。それを見てもバランスが重要となると思います。
――コスト上昇やワーカーの不足などについてはいかがでしょうか
クィ 正直心配しています。現在全くコントロールできていないと思います。これは今後外国からの投資に影響するのではないかと思いVトラストのCEOとして、また投資クラブの代表として問題解決に向けて動いているところです。ワーカーの賃金上昇もそうですが、そもそも出稼ぎに国外へ行く人が多く労働者が足りていないのが現実です。国内での専門家育成も必要ですし、解決策の一つになるのでは考えています。国内でスキルを身に着けることができれば国内で高い賃金を望めるようになり、国外へ労働者が逃げるというのも減るのではないかと思います。
様々な経営者と話しをしていて、賃金上昇も必要だがまずはスキルアップが必要ではという話になります。この問題は政府の関係省庁、経営者、現場作業員3者の協力が不可欠だと考えています。
――交通渋滞が深刻化しているが駐車場なしの建物が多いですが、いかがでしょうか
クィ そうですね。その前に建築ルールを厳しくしていかなければと思います。あちこちで工事が進むなか、現場管理も甘かったりしますし、危険が多いと感じます。これは政府との連携も必要です。駐車場問題も重要ですが、建築業界だけでも優先事項がたくさんあります。考えたことはありますがそこまでたどり着いていないのが現状です。
――日系企業へメッセージがあれば
クィ ここ数年は日系の投資案件が増えてきていて嬉しく思います。日本が参入することで他国への信用にもつながります。そこはカンボジアにとって重要なポイントかと思います。日本や日本のビジネスコミュニティから学ぶことも多く、自分自身やスタッフのスキルアップに向け努力しているところです。私の会社やカンボジア投資クラブの活動に興味がある人がいらっしゃいましたらいつでもお答えいたします。日本に温かくしていただいている恩返しをしたいと思っていて、CJCCのセミナーで講師もしているんですよ。 (取材日/2015年3月)