2016/11/23
(前回の続き)
――運輸サービスに影響を与えるファクターは何か
ポール・グルー(以下、グルー) SOLAS条約(海上における人命の安全のための国際条約The International Convention for the Safety of Life at Sea)が改定し、この6か月間でシッピングは非常に変わりましたよ。以前より、国際海上輸出コンテナの総重量を船長に提出することを荷送人に義務づけていましたが、総重量の誤申告によるコンテナの荷崩れ等の事故が発生していることを踏まえ、総重量の確定方法が、今年7月1日に変更になりました。
これは、貨物の入ったコンテナの総重量を適切な計量器で計測する方法と、 適切な計量器で個々の貨物、梱包材等を計測し、それらと空のコンテナ重量を足し合わせることにより確定する方法のどちらか1つを取らなければなりません。
この流れを受けて、海上輸送業務に関わる労働者の怪我や人命損失のリスクを軽減するため、船舶の安全運航に向けて、規制は厳しくなっていくでしょうね。
――運輸という視点から見て、陸海空のインフラ整備状況の現状を教えて下さい
グルー インフラに関していえば、今後益々発展しますね。例えば、国内最大級の輸出入の窓口であるシアヌークビル港までの道路は、2、3年前とは比べものにならないほど状況は良くなりました。輸送時間は短くなり、より安全でシンプルに、規制等もそれに合わせて変化しています。
また、そこで働く人々の意識も変わったと思います。以前は、関税や税金で自身の利益を求める人も多かったですね。恥ずべきことです。それで外国企業が取引を停止するなどもありました。しかし、人々も発展しています。現在は、他国の企業、特にタイ企業と働くことも多くなりましたしね。投資により、全体的にかなり良くなりました。今後もチャンスが多いと思っています。
――カンボジアの運輸システムを利用する際の注意点と、更なる発展のため、この国には何が必要だと思われますか
グルー 商業的には、もちろんシステムやプロセスに注意を払う必要があるが、個人向けサービスについてはまた別の話だと思います。自社で車両を持って、インフラを整備することが必要ですね。
オンタイムに届く必要性ですか?我々の業界では、オンタイムであることと商業的かという事は違います。もちろん生鮮食品であれば鮮度が大事ですが、法人の荷物になると数多くの書類提出が必要となってきます。何が一番大事かをお客様ごとに考え、申し訳ありませんが次の便になることもあります。
――日本人投資家や日系企業、引越しサービスを利用しようと考えている人へのコメント
グルー 我々は中国でも日本でも、どんな外国からの投資も歓迎します。特に日本企業は、数多くの日本人投資家が、カンボジアと良好な関係を築いてきたという歴史があります。投資という点では、現在カンボジア不動産は難しいと言われますが、それでも、プノンペンのダイアモンドアイランドやデキャッスルなど多くの日本人オーナーがいます。
その他に注目度が高いのは日本人観光客です。もちろん中国人もですが、日本人観光客は年々増加しており、今後も期待されるでしょう。もちろんプノンペンだけではなく、シェムリアップ等にもです。日本人観光客向けの旅行産業の参入余地や潜在的な可能性も大いにあるでしょう。また、カンボジアは日本人観光客が来ることによって、更なるインフラ開発を期待しています。
また、2、3年住む方には、ぜひ我々のサービスをご利用頂きたいですね。弊社は日本にもオフィスがあり、日本とカンボジア両方でサポートすることができます。自国外に行くのはとても面白いですよね。毎週散策に出掛けたり、レストランに食べに行ったり。その点カンボジアは、毎年変化と進歩がある国です。日本の方々にとっても、気に入って頂ける環境だと思いますよ。
そういう意味では、本当に投資しやすい国だと思います。元々のレベルが低いですから、お店を開いても物を持って来ても、何をしても可能性がある。また、少額でも始められるため、リスクが少なく済みます。思ったらやりましょう。ぜひやってほしいですね。カンボジアは発展し続けて行きますから。
(取材日2016年8月)