2016/12/26
―――ソナトラグループとして銀行をされていますが、来年4月から不動産販売を始められるそうですね。様々なタイプがあるかと思いますが、戸建てになるのですか
永田哲司(以下、永田) 戸建てで、基本100%ローカルの人向けの会社になります。リンクハウスもあればツインヴィラ、ヴィラもあります。土地は全部で50ヘクタール購入しましたが、第1弾として売り出すのは6.5ヘクタール、350戸くらいです。ニューワールドとか、オーキデとかペンフーなど我々より大きいですね。タウンハウスと似たフラットをやっている企業もありますが、私たちはフラットはやらず、タウンハウスをやります。
―――フラットとリンクハウスの違いは何でしょうか
永田 フラットは、グラウンドフロアの出入り口にはシャッターが設置されおり、またメザニン(中二階)がある昔ながらの伝統的な作りをしています。場所にもよりますが、グラウンドフロアとメザニンのみの一階建てで、最低価格が5万ドルから5万5000ドルです。また、2階建てなら7万7500ドルくらいです。従来型のフラット業者はただ建売して終わりですが、ペンフーやニューワールドや私たちは、ゲートシティにして、中には公園を整備します。なかには区画整理するだけで、メンテをあまり考えていない業者もありますね。
リンクハウスは、中二階がなく各階が全て住居スペースです。住宅仕様になっています。私たちのコンセプトはゲートシティです。一番大事なのはゲートシティにしてセキュリティを保証し、かつメンテナンスをきちんと行うことができる街作りです。メンテナンスしないと公園は汚れ、道路も傷み、街自体の付加価値が下がりますから、最低でも5、600戸の規模がなければ維持できません。それらを考慮したプロジェクトにしています。作って転売して終わりだと、誰が敷地の管理をするのか、セキュリティを誰が配備するのか。良い街に継続して作るなら、メンテナンスが一番大事です。
―――どのような形で販売展開していく予定でしょうか
永田 私たちはメイドインジャパンで打ち出します。サムスンホールディングスと日本企業との合弁会社で、プレキャストの供給会社を作りました。従来型のレンガ作りではなく、プレキャストによる施工です。また、地盤改良もします。従来型の杭打ちでなく、日本から新しい鉄鋼を調達して、より頑丈な住宅を作ります。
リンクハウスタイプは3階建てで8万5000~10万ドルです。ツインハウスは大体16万~17万ドル、ヴィラは28万~30万ドルくらいですね。
―――フラットのように、入って中二階があるタイプは、カンボジア人からみてポピュラーなら、フラットの方が求められるのではないですか
永田 もちろんカンボジアは、入って中二階がある、フラットが主流です。フラットはグランドフロアの天井が高いので、個人商店には向いています。これをショップハウスと呼んでいますが、私たちも一部やります。グラウンドフロアにメザリングを設けて、天井を高くし、ショップハウスとして売り出します。
カンボジアでは、別にショップハウスとして使用しなくても、そういう作りのまま、住宅として使用しているわけです。しかし、私たちがそれをしない理由は、それをやると、自分達が買った後に、ちょっとした小店をやる人がでてきて、住宅街に、いきなりお店を出されると、街の美化が崩れます。
また、富裕層のご子息は海外経験もあるので、マインドも変わっており、従来型より新しいデザインを好みます。このようなモデルで上手にやっているのが、ペンフー、チップモン、オーキデ、ニューワールド4社で、私たちの競合だと考えています。このようなコンセプトでやっているところは少ないですね。
―――コンドミアムは供給過多が問題になっていますが、ボレイはどうでしょうか
永田 コンドミアムに比べると、ボレイ自体はまだ売れています。コンドミニアムはローカルの人は買いませんから、頼みの綱は外国人投資家です。しかし、ボレイは未だにローカルの人がすごく好きなマーケットなのです。以前、CBREに新規の住宅購入するカンボジア人の趣向を2年前に調査してもらいました。ボレイなどの土地付きの住宅がいいと答えた者が85%、コンドミアムでいいと答えた者は15%という結果でした。そのため、住宅が供給過多になっているとはいえ、ボレイはまだ売れる可能性が大きいです。
私たちが今やっているボレイはプノンペンの南側です。現在、競合各社がボレイをやっていますが、そのほとんどは北側や西側。それからペイフーは東側です。南側はニューワールドがつい最近公表して、全部で600個売り出したのですが、すでに7割完売したようです。南側には需要がありますね。
また、私たちの狙いは買い替え需要です。もともと自分たちが所有していた住居が結構高く売れます。プノンペンの南側郊外のタクマウでは、平米あたり1000ドルくらいの価格になっています。ヴィラを持っていれば3000万から4000万で売れます。そういうのを売って、我々の住宅に買い換えてもらうという需要を考えています。(取材日/2016年9月)
(次回へ続く)