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業界別インタビュー

2014年10月3日

よく調べずに痛い目に遭った事例を数多く見てきた[法務・税務・会計]ブレットン・G・シャーロニ (3/3)

法務・税務・会計

シャーロニ&アソシエイツ Sciaroni&Associates
シニアパートナー: ブレットン・G・シャーロニ Bretton G. Sciaroni
カンボジアで20年以上の歴史を持つ、シャーロニ&アソシエイツのシニアパートナー、ブレットン・G・シャーロニ氏に話を伺った。(取材日/2014年9月)
よく調べずに痛い目に遭った事例を数多く見てきた

前回からの続き
―――これから進出を考えにあたり、法の専門家の進言を受けるメリットは何ですか

シャーロニ はい。この国の基本的な手法を理解していない事例を数多く見かけます。詳しい事例からお話ししますと、進出組の企業の中には絶対に手を出さない手法をこちらでやってのけることがあります。JVの契約、賃貸契約や代理店契約でも、まずはその相手を知ることが重要です。場合によってはとんでもない結果をもたらしますから。これは世界どこにいても同じことなのですが、カンボジアは他国では簡単に手に入る公的情報が乏しいので苦労する場合もあります。よく調べもせずに飛び込み、痛い目に遭ってしまった事例を数多く見てきました。

 こちらにも健全な企業はありますし、勧めることも多々あります。ただ偽善的な企業が多々居るのも確かです。ですから、もしビジネスをするならば、できる限り企業や人物の下調べをすることが大切ですね。

できるだけ早期に進出をした方がいい

―――今後カンボジアに進出を考えている企業にアドバイスはありますか

シャーロニ 私から申し上げるのはできるだけ早期に進出をした方がいいという事です。カンボジアへの投資も良い時期だと思います。この1年政治デモや労働賃金闘争などがあったのは事実ですが、両者とも前向きな解決に向かっていると言ってよいでしょう。最低賃金法も検討段階になったようですし、野党党首も議会への復帰が認められました。これらのことは政治の問題だけではなく、経済的にも、直接投資を誘引するためにも良い進歩だと考えています。既に進出している大手企業もありますし、今後検討している企業も国籍に関わらず数多くあります。まずはこの国を見てもらい、様々な現場を見た上で判断してもらえばいいと思っています。法整備も進歩しており、投資関連法案の再考や経済特区の法整備も進められます。カンボジアに進出するにはいい時期だと思います。

事前準備に特別なことは必要ない

―――日本のサラリーマンは突如異動を言い渡されることもありますが、カンボジアに来るにあたり事前準備が必要だと思うことはありますか?

シャーロニ 特別なことは必要ないと思います。NGOであろうが政府関係者であろうが民間企業であろうが、縁あってきた人々は皆さん滞在を延長できる方法を模索することが多いです。それが家族連れであっても。プノンペンは小さな街ですが居心地はいいと思います。飲食店の選択肢は素晴らしいですし、ここ最近の変化は目覚ましいですね。私が21年前に移住した頃、カンボジアは独身男性が勤務を命じられる場所でした。治安の不安定さや居住性の悪さなどが理由でしたね。今では国際基準のインターナショナルスクールもありますし、近代的な病院も近々オープンします。まともな病院がないという事が今まで問題になることも多かったので新病院の開業でそれも解決されるはずです。これまで深刻な健康状態の問題があればシンガポールやバンコクに搬送されることもありましたから、今後それもなくなるでしょうね。(取材日/2014年9月)


シャーロニ&アソシエイツ Sciaroni&Associates
事業内容:法務コンサル等
URL: http://www.sa-asia.com/home/

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