2018年2月7日
――会社紹介をお願いします。
シン・チャン・モー(以下、シン) プノンペン商業銀行(Phnom Penh Commercial Bank : PPCBank)は、商業銀行としてのフルライセンスを受け、2008年9月より銀行業務を開始しました。本店は、プノンペン市内のノロドム通り沿い(マレーシア大使館の正面)に位置しています。
2016年にはJBファイナンシャルグループやアプロファイナンスといったより強力な株主を迎え、私は2016年8月に新しいCEOに任命されました。そうした新たな変化の中、お客様の生活向上と銀行業務の拡大のための新しいサービスのご提供を続けています。
――強みは何でしょうか。
シン プノンペン商業銀行は、当社の親会社でもあり、韓国で最も革新的で信頼の置ける銀行の一つJBファイナンシャルグループの経験と資源を最大限に活用し、オンラインにおける銀行サービスの進化の最前線に立ちながら、引き続きオフラインでも新たな銀行サービスを展開してまいります。
――お客様について教えてください。
シン お客様は、富裕層やその企業、および一般のお客様の大きく2つの層に分かれています。私たちはリテールバンクとして、富裕層の個人のお客様へのサービス提供に大きな喜びを感じており、この市場の拡大を目指しています。 最近では、より顧客重視のサービスを提供するためにいくつかの変更を加えました。
――カンボジア人の銀行口座保有率が低い中、フィンテックやイーコマースは国内で伸びています。カンボジア人向けの取り組みなどはされているのでしょうか?
シン 少なくともカンボジアでは、フィンテック企業と銀行とは競争相手ではなく、すべてのステークホルダーにとって有益な協力関係を模索しています。
2017年5月に開始しましたPPCBankモバイルバンキングでは、ユーザーフレンドリーで直感的かつ安全性の高いものをお客様に提供するため、私たちはアプリケーションの開発に試行錯誤を繰り返しました。その結果、お客様はもとより、フィンテック企業の方からもポジティブなフィードバックを受け、ご好評を頂いています。PPCBankモバイルバンキングは、お客様に便利な機能を提供していくため引き続きアプリケーションの改良を継続してまいります。
――この6か月でも商業銀行の預金者と預金額がかなり増えています。背景にどんな要因があると思いますか。また今後はどうなるとお考えでしょうか。
シン 世界銀行や国際連合開発計画、カンボジア開発評議会といった機関による最新の統計によると、カンボジアの貧困レベルは2004年の53.2%から2016年には14%まで下がりました。ご存知の通り2017年には、全ての銀行は国有機関ではなく私企業であることを明白にするよう政府から厳命を受けました。教育的役割も同様で、家に現金を保有するより銀行に預ける方が安全で有益だということを多くの人が認識し始めています。ゆっくりですが着実に、銀行や銀行業務に対するイメージが変化しながら、人々は銀行機関に対する信頼を高めています。これらすべての要因が銀行業界の成長に寄与していると思います。
――カンボジアのドル化経済における、現在の状況や影響、問題点を教えて頂けますか。
シン カンボジアは長い間ドル化経済です。もちろん、国として自国通貨を使用するのが理想的で、カンボジア国立銀行(NBC)もリエル経済への移行に向けた省令を発令しました。しかし、NBCが1~2年のような短期間にこの移行の完了を目指しているとは考えにくいところです。スムーズな移行のためには5年から10年はかかるでしょう。
一方、とりわけ直接投資において、米ドルがカンボジア経済に恩恵をもたらしていること、カンボジアに競争力と魅力を与えていることも忘れてはいけません。
――政府は、自国通貨の促進を行っています。どのような方法があると思いますか。
シン 省令の1つとして、全てのレストランにリエルでの価格表記を要求しているものがあったかと思います。銀行業界について言えば、私たちはリエルでの預金および融資のサービス促進を進めています。サービスの選択肢の拡大はお客様にとって間違いなく有益なものになるでしょう。
――その他に、銀行業界で目を引くトピックはありますか。
シン カンボジア経済は、海外からの投資や資金協力に激しく依存しています。しかし、都市部の中間所得層が急速に出現していくにつれて、市場需要に後押しされた経済成長が加速していくでしょう。効率的な金融市場が経済における市場流動性を促進し、結果として成長速度の更なる上昇に繋がるものと考えています。
(次回に続く)