2017年7月5日
――プノンペンポストクメールの内容について教えてください
カイ・キムソン(以下、カイ) プノンペンポストは大きく5つの構成からできています。国内、ビジネス、スポーツ、ライフスタイル、世界の話題です。加えて特集記事もあります。特集記事は、様々なジャンルニュースを深く取材しレポートを行っています。ビジネス的部分ではこの特集記事への広告が、多くのスポンサーの興味を惹きつけ、貴重な収入源になっています。
またカンボジア国内における日本のビジネスについて日本の特集記事も掲載しています。在カンボジア日本国大使やJETRO、カンボジアでビジネスを行う日系企業の経営者などに対して取材を行い、彼らの目線を通してカンボジアが日本からどのように見られているのかを伝える記事です。特集記事は私たちの英語版ウェブサイトにも掲載していますので、カンボジアに興味のある日本人ビジネスマンの興味を惹いていると思います。
日本はカンボジアと国家間、人的交流なども盛んでとても良い友好国だと思います。カンボジアの若い子たちは日本の音楽CDが好きだし、サッカーの日本代表の本田圭祐選手はカンボジアとの友好の懸け橋として首相からのもてなしをうけていました。2つの橋の建設や、高速道路の建設などは素晴らしい日本のプロジェクトですね。
――クメール語版と英語版の違いは何ですか
カイ 私たちはニュースセンターを共有しています。そのニュースセンターには、記者と写真家がいて、毎日午前11時からクメール版・英語版スタッフが集まり、クメール版、英語版でそれぞれどういった記事を書くかを決めます。違いはどのような記事に仕上げるかです。レストランのシェフが同じ素材にどういった味付けを施すかと同じような違いです。
カンボジア国内向けのニュースでは、世界的なニュースで英語版では1面で取り上げた記事でも、パキスタンなどカンボジアと関係の薄い国のニュースであった場合、クメール版では1面で取り上げないといったことも良くあります。
――新聞紙とデジタルメディア2つの共存は可能でしょうか
カイ 新聞紙はこれからも存続していくと思いますが、ソーシャルメディアもこれから力を注いでいく必要があると考えています。今、私たちは社内でfacebookチームと動画チームを新たに設けて、ソーシャルメディアの開発を行っています。私たちは新聞紙、デジタルメディア双方を読者のために生かして、選択肢を与えられるようにし続けたいのです。
カンボジアはクメール・ルージュの後に起こったベビーブーム以降、若年層の人口比率が大きくなり続け、カンボジア国民1500万人のうち6~7割が20代になっています。彼らはみなスマートフォンを持っていますから、ニュースをそこで読みます。そんな中で彼らの両親に対しては新聞紙を提供できると、スマートフォンで読む子供と合わせて全ての世代に対してアプローチができるようになるのです。
特に若い年代の人々にとってはスマートフォンやタブレットが生活の一部となっていますので、私たちもソーシャルメディアやデジタルメディアに対してより多くの投資を行うことにしています。良い記事をオンラインで無料で見られるようにしています。
ウェブサイトを通して人々は無料で良い記事を読むができますが、その場合新聞紙としてはほとんど収入になりません。しかし問題はありません。私たちのフェイスブックページでは、380万いいね!がついています。これはカンボジア国内のメディアのフェイスブックページとしては第2位です。このように今デジタルが急激に伸びているので、広告収入も問題ありません。
新聞ビジネスを行う上で最も重要なのは、「記事の内容」です。そして「記事の正確さ」がそれに伴って必要です。正確な情報基づいた記事、それが重要なのです。
私たちは独立紙で、真実を伝え、収支を維持し、そして記事の正確性を維持しなければなりません。現在新たなソーシャルメディア、デジタルメディアが現れる中で、我々が立ち位置を失わないのは私たちの「記事の内容」と「正確性」が他よりも優っているからだと考えています。
以前はプノンペンポストといえば、英字新聞のことを指しましたが、現在ではより多くの人々がプノンペンポスト・クメールを認知するようになり、特に若年層に浸透してきました。まだクメールを立ち上げてまだ8年ですから、まだまだ成長の余地はあると考えています。(取材日/2017年1月)
(次回へ続く)