2018年1月8日
(前回の続き)
――今後、どのようなサービスを消費者に提供していきますか?
ポルコニー パイペイは加盟店、ユーザー、提携企業3つの要素から構成されているサービスです。
加盟店に対しては、決済インフラを提供するBtoBプラットフォームになりたいと考えています。バナーやオファーなどの広告媒体としても利用していただけます。 また、LINEの公式アカウントのようなサービスを展開しようとしています。加盟店が独自のページを持つことで、消費者とコミュニケーションを取り、商品を宣伝することができます。新しい支店をオープンしたレストランであれば、アプリケーションを介して、自らで新店をプロモーションすることができるのです。
ユーザーに対しては、AlipayとLINEを組み合わせたような決済アプリケーションを提供しています。加盟店での支払いが、アプリを使って簡単にできます。また、約2週間ごとのアップデートにより、デジタル送金サービスやQRコードを利用した支払いなどますます多くの機能を追加しています。最終的には、財布の代わりとしてパイペイを利用していただくことを目指しています。
提携企業に対しては主に、決済取引サービスとエンゲージメントプラットフォームを提供しています。提携企業はレビューやシェアを通して消費者とコミュニケーションをとることができます。カンボジアは非常にSNSが盛んな国です。 フェイスブックはカンボジア中で使用されており、依然として重要です。しかし、我々は直接的なコミュニケーションが重要だと確信しています。そして当然、支払いの基盤となる銀行との提携も進んでいます。これが実現すればもはや現金は必要なく、銀行からパイペイにリアルタイムで送金することができます。我々は既にAMK、CIMB、メイバンク、ICBCなど13の銀行と提携しています。
――現在の金融業界とカンボジアの経済についてはどうお考えですか?
ポルコニー この国は2008年から2009年にかけて金融危機を迎えました。しかし、ほとんど何もない状態から、GDPは毎年6.5〜7.5%成長しています。 2016年のGDPは約202億ドルで、国内製品の資本増強は約12億7000万ドルに達します。タイに比べるとまだ小さいですが、産業の成長の安定性では勝っていると思います。
現在、カンボジアのビジネスの中心地である、プノンペンやシアヌークビル、カンポットは1つの大きな地域としてみることができます。 その地域の人口が2~300万人だとすると、その大都市圏外の1000万人以上の人はまだ経済的な統計量に含まれていません。企業がより多くの金融サービスを推し進めると、それが地方にまで浸透していき、プノンペンに次ぐ都市が表れると思います。まだ未開発の地域がカンボジアのポテンシャルであり、安定した経済成長の理由の一つであると思います。この先5年から10年で、大きな動きがみられるのではないでしょうか。
――最後に読者の方々にメッセージをお願いします。
ポルコニー カンボジアには過去にチャンスを失い、ひどい経験をした人がいます。しかし現在、カンボジアは非常に魅力的な国であると思います。カンボジアでビジネスをする我々は、プノンペンでレストランなどのお店や、新たなビジネスが日に日に増えていることも知っておく必要があります。どのようなコンセプトや立地、ターゲットを定めるかが重要でしょうね。しかし、外国からカンボジアに進出する人たちは、カンボジアの経済を過小評価する傾向があります。
これからカンボジアへの進出を検討されているなら、まだそれほど多くの人がやっていないことに焦点を当てることをお勧めします。都市で考えると、プノンペンは、すでに多くのビジネスが台頭しているので非常に難しいです。しかし、プノンペンを起点として地方への進出を図るなら、可能性は大いに上がると思います。
カンボジア人の大多数は銀行口座を持っていませんが、統計的な数字だけで判断せずに、パイペイのようなピアツーピアでの金融サービスの認知度はどの近隣国よりもはるかに高いということを心に留めておいてください。(取材日:2017年8月)