2015年12月29日
――まず、自己紹介とパントス・ロジスティクスについて教えて頂けますか
キム・ソンモ(以下、キム) こんにちは、私はキムと言います。専攻が建築関係だったため、その関連で2008年にカンボジアに来ました。それから縁があって物流関係の仕事をするようになりました。パントスに参画してからは5年経ちます。パントス・ロジスティクスは1977年に韓国で事業を開始しました。現在では世界37カ国に拠点・ネットワークがあります。カンボジアには2007年に進出し、2008年3月1日から正式にライセンスを取得し現在に到ります。カンボジアで物流業を初めて、もうすぐ10年目に入ろうというところですね。
――なるほど。カンボジアの物流業界に長く続けられておられるようですが、現在の物流業界の問題点と解決策は何だとお考えですか
キム そうですね。税関内部の仕組みやルールが明確ではないため、明確な判断、結論を出してくれないケースが非常に多いですね。明確ではない部分についてはその都度税関に問い合わせをしなければならないといった状況です。したがって、税関法等に対する十分な知識があり、不明確な部分に対して税関と話し合うことができ、何かしらの解答を出せる能力が必要です。この一連のプロセスをきちんと理解、実行出来れば余分なコストはかかりません。
例えば、通常の組織でもそうだと思いますが、組織として効率的に業務を遂行しようとする場合、可能な限りですが下の人に裁量権を与えるものだと思います。下の人が判断を行って、上司に報告を上げるという流れです。しかし、税関に一つの案件を持って行った時、ルールに不明確な案件が多いので、上司の判断が必要な事象が多くなってしまう。つまり、上司の仕事が非常に多くなっています。でも現在は税関内で1ヶ月に一回はミーティングを行って、ルールについて理解を深めたり、新しい案件に対する共有を行っていると聞いていますから、将来的には良くなっていくと期待しています。物流業の諸問題における解決策は、このような税関の現実などを理解しすることから始まります。
「カンボジアだから物流費用が高い」と言われることがあります。確かに物流費用が高いのはそうですが、なぜ費用が高いのかをまず理解することから始め、次にそれに対する解決方法を探さないといけないわけですが、このようなネガティブな理由しか考えられない業者がいるとするならば、カンボジアでビジネスをする資格はないのではないでしょうか。
――今後、カンボジアの政府に対してどのような点を期待していますか?
キム それはもちろん、税関法に関する明確な結論を期待しています。私達の顧客は、「これはAだ、これはBだ」という明確な解答を求めております。出来るだけ正確な数字とリスクを計算してビジネスプランを練らなければならないのですが、この部分が不透明だとこれが不可能になるからです。
例えば、物流費用が高ければ高いで、それを基に事業を練らなければならないわけですが、これ自体が不明確だというのが現在の問題です。もちろんカンボジア政府の立場は理解しています。カンボジアは基本的なインフラが出来ていないという現状のうえに、この国に分別なく物が出て行く又は入ってこようとする事から自国を保護しなければなりませんから。そのためにはしっかりしたルールが必要ですが、これが無いのです。今、カンボジアは急激に変化している時期ですから、これから少しずつ透明性は増していくと思います。このような状況に対して理解をしながら、現実に合わせてビジネスをしていくのが大事です。
――5年前とくらべてどうですか?
キム 税関職員は少しずつ論理的になっていると思います。費用も若干安くなっています。物流コストを下げることは難しいですが、税関内のプロセス費用は減っています。経済が大きくなるにつれ、透明性のあるルールを作っている最中だということでしょう。
――物流会社を選ぶ時のポイントについて
キム 当たり前だと思いますが、「お金をつめば解決出来ますよ」という人を信じてはいけません。また、「政府の高官が知り合いです」という業者は絶対ダメです。確かにお金を積めば解決できるかもしれませんが、そのようなマインドでビジネスをするべきではないでしょうし、それは正常な事とは言えません。何かアイテムを持って行き、プロセスの最初から最後までを常に論理的に説明できる業者かどうかが大事だと思っています。