2015年6月29日
――カンボジアに展開するにあたって、なにかご自身で変わったことなどございますか
小林 良銑(以下、小林) そうですね。私は日本で21年間ずっと営業でしたが、その時は本社での月1回の会議時でしか本社の役員と会う機会はありません。しかし、海外事業では経営陣と直接のやりとりもありますから、近い場所にいるという印象です。答えがもらえるのも早くなるという面はありますが、一方で、どれだけ現場から発信するかが大事になってきますね。
――2017年にサービスアパートメントをオープンするという報道がありましたが
小林 トールコークでサービスアパート建設の着工を早ければ4月から始めますが、第2、第3の計画もあります。このような情報は直接経営陣に伝えるスピード感が大切です。サービスアパートメントの建設予定地は、TKアベニューや北原クリニックさん、イオンの2号店ができると言われているエリアの近くです。BKKと比べても全然安かったことと、角地である程度の広さを確保できたというのが、選定理由です。間取りは1ベット、2ベット、3ベットの3タイプを用意します。数では2ベットが少し多めです。
――最近のオフィス、住居の不動産の傾向はいかがでしょうか。
小林 住居という面では、右も左もBKKというところから、色んなエリアに少しずつ分散が進んでいます。ビジネスという面では、機能しているオフィスビルの数が多くはない状況のなか、外資を含めて企業の数が増えていますので、オフィスのマーケットを見れば、香港資本によるランドマークタワーという地下3階、地上22階建てのオフィスビルが、38階建てのワタナックキャピタルタワーの隣に建設予定など、動きが活発です。
また、欧米系の賃貸管理会社は、今までオフィスビルを対象にしていましたが、新たに建設予定のショッピングモールに注力する物件を変更するなどの動きが出ています。彼らは良くも悪くも行動が早いという印象です。
――選定にあたってのポイントなどありますでしょうか
小林 業態によっては、一軒家タイプが適している場合もありますし、住居スペースと建物を共有することにより固定費を抑えたいという場合もありますので、進出する企業の全てがオフィスビルを求めている訳ではありません。業種・業態によって、オフィスをステイタスとして捉えるケースもあれば、固定費という面で捉えるケースもありますので、何をメインに考えるかで選択する物件も変わるわけですが、いずれにせよ平米単価が平均相場かどうかという点や、水回りなどその物件を実際に入居した際の使い心地、接客に適したものであるかどうかなどを考慮して選定することとなるでしょう。
――オフィスビルの需要はどうなんでしょうか。
小林 円安のため足踏みしている日系企業が多いなか、個人事業主を中心としてサービス業の進出は増えています。しかし、日系企業に特化して考えれば、金融機関などの業種が増えない限りは、オフィスビルを埋めるに十分ではありません。一方で、非日系企業の場合は、日系企業と比べてオフィスビル内に事務所を構える場合が多いです。
住居、オフィスビル双方において、カンボジアでの家賃相場は進出される方にとっては想定より高いと思われる方が多く、オフィスビルとしての選択肢も少ないなかで、日系企業の入居が多いことなどから仕事の効率が良いプノンペンタワーは結果的に人気が高い物件になっています。また、平米単価10~12ドルという安さでプノンペンセンターも人気ですが、有料駐車場は入居者もその都度に支払わなければならないという不便さが欠点です。(後編へ続く)(取材日/201年3月)