2014年12月12日
3年前に中国の人件費が上がったことをきっかけに、カンボジア進出企業は急増しています。2013年の商業省日系企業登録数は195社。2014年は1月から6月で138社もの登録があり、今年の登録数はおそらく280社になるでしょう。2012年は179社で、2010年は19社でした。この4年半で、実に710社以上の登録数になっています。
世界のトップ企業といえるデンソーさんの進出やイオンモールのオープン、日本人学校の設立など、年を追うごとに投資環境の向上を感じられる国の一つだと感じています。
JETROでは、企業の皆様への各種情報提供もしていますが、ウェブサイトでもさまざまな統計、イベントの案内、具体的な貿易と商談事例、消費市場、経済連携協定(EPA)、自由貿易協定(FTA)の状況、各種法律を日本語に翻訳していたり、労務マニュアルや営業ライセンスなど、幅広い情報を公開しています。法律事務所や人材紹介、税務、会計、独立とか建設など、進出するにあたって必要な、企業様のリストも取り揃えております。
また、4月から中小企業海外展開現地支援プラットフォームも発足し、支援体制がさらに拡張しています。専属コーディネーターが各種のご相談や情報提供をしています。
最近の傾向ですが、日本での人手不足を受け、技能実習や研修など、カンボジアの人材を求める方の訪問も増えています。カンボジア国内では、縫製業などで人が集まりづらいという話もちらほらありますが、人口の7割以上が30歳以下で生産年齢が増えていく見込みです。
カンボジアは過去10年、GDPの成長率もぶれがなく顕著に7%ほど伸びています。インフレが思ったほどなく、隣国と比べると4%弱と非常に健全な伸び方です。直接投資額一位である中国も同様に伸びていくと考えられ、電力や道路などのインフラはますます改善されるでしょう。これによりさらに外資企業が進出し、AEC(ASEAN経済共同体)発足により、あらゆる経済活動が活発化していくなかで、後発国であるカンボジアが押し上げられていく、そういった期待を抱かせる国でもあります。
進出しやすいということがカンボジアが選ばれる決定的なポイントとなっていると思います。実際に各国を視察されている方がそう言われてますね。
合資でないと認可が下りない国が多いのですが、カンボジアでは100%外資での法人設立が可能で、規制の業種もありません。また、送金などの縛りもなく、非常にオープンです。
縫製業や製靴業では、特恵関税が生かされるということも非常に有利に働いています。統計的に見ても縫製業の進出は伸びています。
税務については注意が必要です。節税はしにくい国で、加算税などのリスクがあり、税務申告などを正確にしていないと、後でペナルティを受けることがあります。この2、3年で、日系の会計事務所など頼りになる企業が増えているので、専門家の力を借りるのもよいでしょう。
カンボジアは未来の明るい、成長間違いなしの国だと感じています。どこの国にもあるリスクを加味しながら、情報を集め、投資の検討をしていただきたいと思っております。(取材日/2014年7月)