2015年6月12日
――アイ・グローカルの特徴は何でしょうか?
松村 侑弥(以下、松村) 弊社の特徴は大きく2点あり、1つ目は優秀なカンボジアスタッフが多数在籍していることです。現在カンボジア人スタッフは15名在籍しており、その内日本語対応が可能なスタッフが3名おります。カンボジアの税務に関しては不明瞭な部分が多く、管轄の税務局もしくは担当官によって解釈が異なるケースが多々有ります。この点、弊社マネージャークラスは創業期からのメンバーであり、各税務局の特徴や過去の税務調査の際の指摘事項に関してもノウハウが蓄積されているため、会計処理や税務処理に関して、最善の方法をご提示させて頂くことが可能です。
2つ目は完全法令遵守によるサービス提供です。カンボジアの行政機関においては現在でも法令が遵守されているとは言い難い状況です。会計や税務に対しても同様であり、これまでは適切に納税がなされていなくても看過されてきたケースが見受けられました。しかしながら、カンボジア税法上、税務調査は最大過去10年まで遡ることができるため、現状適切な処理を行っておらず、問題が無くとも将来の税務調査では厳しく指摘を受ける可能性は大いにあります。そのため弊社では将来の税務調査を見据えた上で、法令に則った適切な処理をアドバイスさせて頂いております。
――カンボジアにおける会計・税務を取り巻く環境や、留意すべき点についてお聞かせください。
松村 カンボジアの会計に関しては国際会計基準をベースに作成されており、日本基準と比較しても大きな相違はありません。一方で税務に関しては日本との相違が多く、留意が必要です。
カンボジアでは税務上不明瞭な部分が多く、税務局の恣意的な解釈や突然の制度変更などに対し、外資系企業のみならず国内企業からも不満の声が上がっております。税務局としても適切な納税を促し、納税に関する理解を広める目的から、最近では質問やクレームの多い点に関して定期的に説明会を開催する等の対策を取り始めるなど、改善がみられます。税務局が説明責任を果たし、不明瞭な部分を明確にすると共に、適切な徴税を行なっていくという姿勢であると捉えることができると思います。
実際、カンボジアの税務調査は年々厳しくなっており、毎月の税務申告が適切に行われていないもしくは不備があった場合には税務調査の際に多額の追徴課税およびペナルティが科されかねません。
――具体的な例などご紹介できますか?
松村 そうですね。最近では資金管理の部分に関しての指摘が増加しております。現地法人設立の際には資本金を払い込む必要がありますが、事業活動を行う上でキャッシュが不足し、親会社から追加で送金を受ける企業が多くあります。現地法人側では当該取引の処理として、増資手続きもしくは親子ローン契約を締結する必要があります。
増資手続きは定款を変更する必要があり、商業省および税務局にて申請が必要となるため、変更完了までおよそ2-3ヶ月の時間と手間がかかります。また、親子ローンの場合は契約書を作成し、利息の設定を行い、管轄税務局へ通知を行う必要があります。
これらの手続きを踏まえなかったばかりに、親会社からの送金が現地法人の売上としてみなされ、申告漏れを指摘されるケースなどが目立ちます。また親子ローンとした場合、税務局への通知を怠ったばかりに恣意的な利率を税務局より設定され、利息に対する源泉税の申告漏れもしくは過少申告を指摘されるリスクがある旨にも留意が必要です。
――最後に何か一言お願いします。
松村 カンボジアでの税務リスクに関して、例をあげてご説明させて頂きましたが、実際の税務上の指摘事項は企業の業種によって様々です。弊社では今日まで、製造業・金融業・不動産業・小売業および飲食業等々、他業種に渡るお客様をご支援させて頂いてきたため、幅広い業種に対するノウハウおよび経験をご提供させて頂くことが可能です。
お客様およびカンボジア人財の成長がそのまま弊社の成長へと繋がっているため、今後ともきめ細かなサービスの提供はもちろんのこと、弊社人財のみではなく、お客様のカンボジア人財に対しても成長を促すサービスの提供をより強化していくつもりです。(取材日/2015年3月)