2017年1月13日
(前回の続き)
――海底光ケーブルプロジェクトの進捗状況を教えて下さい
イヴ・シェフェール(以下、シェフェール) ご存知の通り我々は、2015年5月タイとマレーシアとの合弁企業にサインをしました。*このケーブルはカンボジアで初めての試みです。メリットとしては、最新技術が使用されるため、大容量の通信が可能になり、また直接ネットワークが繋がるため、価格も安くなります。
この計画は、海外の投資家にとって、カンボジアの発展性に驚くだけでなく、ITやICT分野の益々の発展が見えて、興味深いでしょうね。計画は順調で、2017年の第一四半期に完成予定です。
*ネットプロバイダのイージーコム社(Ezecom、カンボジア)の子会社であるテルコテック社(Telcotech、カンボジア)が、アジアとアメリカを結ぶ光海底ケーブル網(Asia –America Gateway、略称:AAG)への接続をシンフォニーコミュニケーション(Symphony Communication、タイ)とテレコムマレーシアとの間で締結している。
――海底光ケーブルへの投資は高額だと思いますが、どのようにして資金を集められたのでしょうか?
シェフェール まず、この計画はイージーコムだけではなく、合弁企業で動いているので資金はシェアしています。
第2に、この投資計画は長い目でみる必要がありますが、初めての試みで第一人者です。海外からの企業もイージーコムに興味を示すでしょう。海底光ケーブルは、エンドユーザーに向けてだけの計画ではありません。企業とのパートナーシップに繋がる可能性もあり、「非常に難しい計画だが、イージーコムはやり遂げており、素晴らしい企業だ」と、企業イメージのアップにも結び付くでしょう。
将来的に、アマゾンやグーグルなど世界的有名企業のオフィスが出来るかもしれません。そんな時に、選ばれるような企業になりたいと思っています。そんな長期的な視点を持った計画なんですよ。
――イージーコムの企業向けサービスを教えて下さい
シェフェール データセンターとホスティングサービスを行っています。ホストサーバーは、現在はE-Mailやアプリなど。将来はソフトウェア企業と共にソフトウェアのホストサーバーも作る計画がありますね。また、繋ぐことはもちろんですが、個人情報や企業情報保護など「守る」ことにも力を入れています。
後は、いわゆる何でも屋ですね。例えば、カンボジアに進出する企業がオフィスを構える際に、Wifiの設定など、包括的なサービスを行えるのが特徴です。人々はもちろん仕事でカンボジアに来ますが、仕事だけをする訳ではないですからね。
――カンボジアのインターネット環境は、外国人ビジネスマンにとって使いやすいものですか?
シェフェール ビジネスマンとインターネットは切っても切り離せない関係です。ここ数年、カンボジアのインターネット環境は格段に良くなり、そういった方々にも、高品質で早いネットワークが提供出来ていると思います。
また、現在、カンボジアにはたくさんのファイバーがあります。6、7年前にアフリカで働いていましたが、当時そんなものはありませんでした。そのため、ビジネスマンにとっても、手軽にインターネットが使える環境だと思いますね。
――貴社の将来のビジネス展開を教えてください。カンボジア通信産業の将来について教えてください
シェフェール 業界で言うと、人々のインターネット欲求の高まりと同時に、需要も益々増加すると思います。また、事業の境目はどんどんなくなっていくでしょうね。我々は、*Mtomサービスもするし、法人向けサービスも全部対応していますという企業が増えるでしょう。我々も、全サービスを提供出来るよう対応している最中です。
イージーコムとしては、海底光ケーブルによって、ISPの独自性が高まり、オンリーワンの企業となるでしょう。法人向けには、インターネットホスティングサービスやプロバイダーサービスに力を入れる予定ですね。現在の業界の流れは「ダイバーシティ化」です。我々はただのインターネット会社ではなく、サービスプロバイダに変わろうとしています。そうしないと生き残れませんからね。
*machine to machine(機器同士がコンピューターネットワークを通じて直接情報をやり取りし、高度な処理や制御を行うこと)
――日系企業や日本人投資家へのコメントをお願いします
シェフェール カンボジアで大事なのは、現地企業とのパートナーシップです。日本からカンボジアに来て、働き方が違うのが分かるでしょう。例えば、騙されるなど、ビジネスを始めるのも簡単ではありません。そんな時我々は、通信面で良いパートナーになれると思いますよ。(取材日/2016年8月)