カンボジアに進出する日系企業のための
B2Bガイドブック WEB版

業界別インタビュー

2020年3月9日

プノンペンの不動産は依然として健全[建設・内装] ミース・プロックサー

建築・内装

コンストラクション&プロパティマガジン Construction & Property Magazine
発行人 Publisher: ミース・プロックサー Meas Proeksa
日本企業を含め、125社もの建設会社、サプライヤー、不動産会社等が加入するカンボジア建設協会(CCA)が支援する建設業界専門誌「コンストラクション&プロパティ」。その発行人であるミース・プロックサー氏に、中国資本が集まるカンボジアの建設業界の業況や不動産市況、今後のコンドミニアムへの投資について伺った。(取材日/2019年12月)
中国資本は不動産価格の上昇と経済成長をもたらすが、地域経済との融合が課題

―――中国資本によるシアヌークビル市の建設や不動産開発について、カンボジアに与えるプラスとマイナスの影響は何でしょうか。

ミース・プロクッサ(以下、ミース) 世界的な経済競争を見ると、中国は経済力と政治地理戦略を拡大するために「シルクロード経済ベルトと21世紀海洋シルクロード(通称:一帯一路)」を実施しています。カンボジアが一帯一路を支持し、中国がイニシアチブの重要な場所としてカンボジアをみていることを考えると、シアヌークビルは一帯一路構想を実現するための地理的に重要な場所になります。

 その結果、不動産、高層ビル、経済特区、娯楽施設、観光地、空港、深海港など、多くの投資がシアヌークビルに注がれており、これらのインフラストラクチャは、非常に短い時間で、シアヌークビルを建設部門の雇用を創出する近代的な都市として、また観光や産業、経済の中心地として変貌させました。不動産価格を上昇しており、カンボジアの経済成長を後押ししています。

 しかし、この大規模な投資の影で、マフィアやギャンブル、違法な仕事、犯罪を引き起こす中国国民の流入もありますし、それに加えて、西側からの観光客の減少も引き起こしています。

 こうした状況の変化により、観光部門からの収入に依存している一部の地元住民に対して困難に直面させています。適切な規制なしに不動産投資を過度に受け入れれば、長期的に見た場合に低所得のカンボジア人は住宅危機に陥る可能性があります。

中国資本が投入が盛んなのはシアヌークビルじゃない

―――中国の開発者の関与はどの程度でしょうか。

ミース シアヌークビルは、カンボジアと中国の間の長期的な協力政策によって恩恵を受ける唯一の州ではありません。

 中国はコッコン州のような他の州にも多くの投資を続けており、例えばロング・ベイ・ダラサコールは、90キロメートルの海岸線を含む360平方キロメートル(シンガポールの約半分の面積)を99年間レンタルし、ビーチリゾートや貿易、金融の中心地として発展させています。港に加えて、大型旅客機が発着できる国際空港を開発する計画があります。コッコン州の次の目的地はカンポンスプー州です。

都心の開発が進めば、地価上昇によるマンション需要のトレンドは加速する

―――プノンペン、シアヌークビル、シェムリアップの現在の不動産事情はどうでしょうか。

ミース 現在、首都プノンペンの不動産の状況を見ると、中高所得者が集まる場所であるため、依然として健全です。投資の大部分は、中国企業により、都市の不動産価格を健全に保つ住宅やマンション、商業ビル、オフィスに焦点が当てられ開発が推進されています。

 シアヌークビルは、最近はオンラインギャンブルの禁止の状況により短期的には停滞していますが、長期的には土地の需要は増加し続けるため、地価は上昇していくでしょう。

 シェムリアップの不動産価格に関しては、州当局が観光に焦点を当てており、心配するほどの変化はありません。このほか、政府が商業地区を構成する新しい都市として指定した地域では、土価が大幅に上昇し、高層ビルや空港、道路の建設も行われています。

ニーズは戸建住宅からマンションの購入へ移行

―――マンションの購入を計画している人にアドバイスはありますか。

ミース 地価が高いため、人々は戸建住宅からマンションの購入にまもなく変わるでしょう。さらに、戸建住宅は都市から遠く離れており、日々悪化する交通渋滞の中では、移動するだけで長時間を要します。これは今日の人々にとって大きな問題です。したがって、最良の選択は、住宅が職場の近くにあり、通勤に時間をかけない場所にコンドミニアムを購入することです。


コンストラクション&プロパティマガジン Construction & Property Magazine
事業内容:『コンストラクション&プロパティ』隔月刊5,000部発行。カンボジアを含むアセアン諸国の不動産や建設に関する情報を提供している。電子媒体のダウンロードを含め、読者は合計3万人と想定。ターゲットは建築家、サプライヤー、銀行、保険会社、不動産、建築会社など。
URL: http://www.construction-property.com/
関連記事
経済
カンボジア、鉄鋼輸入が59%増加―建設・不動産市場の回復は本物か[経済]
(09月24日)
社会
プノンペンのボレイ・ピプープ・トメイ購入者、家の差し押さえは不当と主張、首相に解決を要求[社会]
(11月23日)
経済
カンボジアの金融セクター、2023年には貸出成長が鈍化、ただし2024年に回復見込み[経済]
(08月29日)
経済
住宅販売は減少する一方、ローンは増加の傾向に カンボジア[経済]
(08月10日)
経済
カンボジアで承認された建設プロジェクトが上半期に急増[経済]
(06月26日)
経済
コンドミニアム、賃料と販売価格がともに低下 カンボジア[経済]
(01月14日)
あわせて読みたい
特集
トップインタビュー イエローツリー・インテリア バーニー・ダーキン(1/3)
特集
注目すべき卓越した2つの物件、カサ・バイ・メリディアンとスカイラー・バイ・メリディアンに迫る
特集
注目のコンドミニアム、カーサ・バイ・メリディアンについて迫る
特集
まちづくりひとづくり スペシャル対談 Vol.4
特集
まちづくりひとづくり スペシャル対談 vol.3

その他の「建築・内装」の業界インタビュー