彼らは希望給与額を現職給与額より下に設定することはほとんどありません。転職が賃金アップの有力手段であると安直に考えている向きがあります。成果を出せば昇進・昇給できるというロールモデルを社内で構築できれば、人材の流出を防ぎ従業員は業務に集中することができるでしょう。
最近は日系企業のカンボジア進出が増えたため、日本語人材の供給が追い付かず賃金が高騰しており、英語人材と比較して2倍以上の開きがある状況は異常と言えます。
就職対策として日本語の習得熱も高まっていますが、労働市場に出てくるまでには時間を要しますので、しばらくこの状況は続くでしょう。
1年以上働くことを長いと考える彼らの時間的尺度の違いには驚かされますが、学校においてジョブガイダンスや職業講話などがまともに行われておらず、安易な転職の繰り返しからは何も得られないことを知りません。
私は自社のキャリアコンサルタントに対して、給料の意味、働くことの意味を私なりの解釈で伝えており、その意味をまだ十分に理解できていない若年の求職者の方に対して、キャリアコンサルタントである彼らが私の代わりに伝えています。
多くの進出企業はあらゆる面で現地化を念頭におき、マネージャーや幹部候補などの役職にはカンボジア人を配置させる場合が多いです。そして将来はほぼ全ての業務をカンボジア人だけでオペレーションするという理想を持っています。
しかし、人材面における現地化の妨げとして、カンボジア人材の社会人的基礎力の低さが挙げられます。
基礎力とは主に、考える力・行動する力・チームワークの3つです。
日本人の場合、義務教育など通してある程度の基礎力が自然と身につくものですが、カンボジアの場合は初等・中等教育が他のASEAN諸国と比べてかなり遅れていますので、カンボジア人の多くは社会人基礎力の素養が身につかぬまま、大学等では英語などの語学学習に勤しむため、「話せるだけの人材」などと揶揄されることもあります。
カンボジアの経済が急成長しているのと同様に、ローカルスタッフも社内の人材育成によって急成長してくれれば問題が無いのですが、簡単にはいきません。
カンボジアの経済成長に自社だけが置いてきぼりされる訳にはいきませんから、問題が顕在化する前に、ローカルスタッフの人材育成を行うのと同時に、日本人等の現地採用を検討する企業が今後増えてくるでしょう。
私たちは業種・職種に合わせた人材育成のお手伝いもできますが、こうした動きに対応して日本・タイ・ベトナムなどの人材紹介会社とも既に業務提携をしており、外国人の現地採用のお手伝いも得意としています。
また、私たちは日系企業でありながら、日・独・仏・中と国際的な専門スタッフを揃えており、カンボジア人はもちろん、日本人や中国人などの登録されている求職者の数は約2万人と豊富です。当然、取引先企業も多国籍に及びます。このような人材紹介会社はカンボジアでは私たちだけでしょう。
人材紹介会社を利用するメリットとして、突発的な採用業務による平常業務の停滞防止や、不適合者の登用がもたらす人的リスクの排除などが挙げられます。私個人としては1人の優秀な人材を見つけるために最低でも10人と会い面接したいと思うのですが、実際にそれをしようとすると膨大な時間が必要となってしまいます。採用業務だけを担当するスタッフを雇うよりも、時間を買うという考え方です。
例えば、クライアントに候補者を3人ご紹介したとしたら、私たちは30人のカンボジア人を面接していることを意味します。これだけでも、どれだけの時間を節約できているかがおわかりになるかと思います。
また、成果報酬型ですから、求人を登録し候補者を何人紹介されても無料です。面接をして内定者が現れたとしても無料です。内定者が初出社して初めて手数料が発生しますので、採用側にとって極めてリスクが低いと言えます。
私たちは紹介保証期間内で早期退職した場合には、手数料を最大で全額返金しています。返金せずに代替人材の紹介する人材会社も見かけますが、クライアントにとっては不便なサービスです。他の経路で代替人材が見つかった場合には、返金されないのですから。(取材日/2014年1月)