カンボジアに進出する日系企業のための
B2Bガイドブック WEB版

業界別インタビュー

2014年12月26日

様々なビッグプロジェクトをカンボジアで成功させてきたユニーバサル企業[不動産]フィリップ・スコット

不動産

CBRE カンボジア CBRE Cambodia
不動産調査担当: フィリップ・スコット Philip Scott
世界300カ所以上に拠点を展開する、国際的な不動産会社CBRE。法人向けオフィスや物流施設などの賃貸借仲介、プロパティマネジメント、アセットマネジメント、不動産鑑定など、総合的な不動産サービスを提供している。不動産調査担当のフィリップ・スコット氏に、オフィススペースなどカンボジアの不動産事情を伺った。
市場はまだまだ右肩上がり

私達CBREカンボジアは、1993年から業務を開始しています。当時は、6人から10人ぐらいの小さなチームでのスタートでしたが、年々規模を拡大していきました。
香港ランド、セントラルマンション、メコンタワー、プノンペンタワー、GTタワー、デキャッスルなどのプロジェクトを手がけております。現在は、5名の外国人スタッフと15名のカンボジア人スタッフがいます。
カンボジアでの不動産市場は、今後もより良くなっていくと思いますが、現在もいい状況です。中にはバブル状態だという方もいるかと思いますが、我々はそうとは考えていません。まだまだ右肩上がりが続くでしょう。
現在我々はバタナックタワーを手がけていますが、とても活発な市場です。建設プロジェクトも大成功しましたし、デキャッスルなどはプノンペンに新しいタイプの不動産を提供して、投資の呼び込みにも貢献していると自負しています。このほか、ポンコック湖畔の160ヘクタール規模の土地開発をはじめ、さらにたくさんのプロジェクトを現在進行しており、これらのプロジェクトも成功すると思います。

土地の所有権が鍵

カンボジアは他国とは違ったフロンティアな市場です。よくプノンペンはバンコクから20年、30年遅れているという言われ方をしますが、これは間違っていると思います。どこかしこにも高層ビルがあるというわけではありませんが、例えばバタナックタワーなどは、タイの高層ビルや、イギリス、香港のそれと比べても遜色ないものです。2、30年前のタイでは建設できない建物です。
カンボジアの土地の所有権についてが大きな鍵になると思います。カンボジアでは外国人は土地を所有することはできません。しかし、カンボジア人のパートナーと組んで土地を所有するという方法があります。例えば、土地所有会社をつくり、その資本関係をパートナーが51%もつということにすればいいわけです。こうすることで、土地の開発が可能で、プノンペンタワーを開発したヒュンダイも同じやり方をとっています。

不動産価格について

オフィススペースの価格は全体として上がってきています。例えばプノンペンタワーが3年前にオープンした当初、その価格は$14.5/㎡ほどでした。
また、去年は大きなオフィススペースの供給がなく、不足していました。今年は新しいオフィススペースがいくつかでき、プノンペンタワーは$4.5のサービス料別で、$22/㎡ほどになっています。バタナックタワーは、$5のサービス料別で、$28〜$38/㎡です。現状から見ればこれらの相場はまだ変動すると思います。
土地に関していえば、多様ですね。ヨーロッパでもそうですが、土地の値段というのはオーナーさんとのやり取りになるので、本当に値段の違いは大きいです。短い期間でも土地の値段が大幅に上がることもあります。現在、土地の開発熱があるので安くはありませんが、個別に調べて交渉するしかありません。郊外は、簡単には言えませんが、プノンペンよりはるかに安いです。
シェムリアップにはハードロックカフェが出来たりなど、商業施設が増える兆しがありますが、一歩郊外に出れば農業地帯になります。このような土地は、上がっているとはいえ軒並み安いといえます。
日系企業の方々も、どんどんカンボジアに来てください。パートナーを見つけて、しっかりリサーチした上で、投資をしていただければと思います。(取材日/2014年8月)


CBRE カンボジア CBRE Cambodia
事業内容:オフィスや物流施設などの賃貸借仲介、プロパティマネジメント、不動産鑑定など、総合的な不動産サービス
URL: http://www.cbre.com.kh
関連記事
経済
プノンペン住宅市場、都市化の進展で国内需要が急増[経済]
(22日)
経済
第3四半期に小規模ビジネスローン増加も、不動産市場は冷え込み[経済]
(01日)
政治
シアヌークビルの未完成建物問題、政府の支援策に期待も解決は未だ[政治]
(10月30日)
社会
プノンペンのボレイ・ピプープ・トメイ購入者、家の差し押さえは不当と主張、首相に解決を要求[社会]
(23日)
経済
カンボジアの金融セクター、2023年には貸出成長が鈍化、ただし2024年に回復見込み[経済]
(08月29日)
経済
住宅販売は減少する一方、ローンは増加の傾向に カンボジア[経済]
(08月10日)
あわせて読みたい
特集
まちづくりひとづくり スペシャル対談 vol.3
特集
活況カンボジア不動産投資 リスクとリターンを見極めた先に映るその正体は? 2/2
特集
活況カンボジア不動産投資 リスクとリターンを見極めた先に映るその正体は? 1/2
業界
これ以上無いほど徹底して利便性を追求[不動産]ジュリアン・ホー チェニー・チャン
業界
プノンペンの不動産は依然として健全[建設・内装] ミース・プロックサー

その他の「不動産」の業界インタビュー