2014年12月11日
――CPBの特徴を教えてください。
トン 私たちカンボジア・パブリック銀行(以下、カンプ銀行)の強みは、厳格な管理体制と優れたカスタマーサービス、資産管理能力と組織力、意欲的で資格のある人材、更にはマレーシアにある親会社の強力なバックアップ体制です。当行は、1992年5月に最初の支店を開業しましたが、現在は27支店、社員数678人まで成長しました。今ではカンボジアに35ある外資銀行の中では最大の資本規模です。ワンストップサービスとして様々な分野の金融商品を提供しています。
カンプ証券の完全子会社あり親会社は証券サービスを主としており、関連会社であるカンプ・ロンパック保険では保険サービスを提供しています。
また、金融部門の優れた経営が評価され、2012年には、世界の一流銀行などを扱う金融業界誌から「バンク・オブ・ザ・イヤー・カンボジア」に選ばれました。これは通算8回目となる快挙です。別の業界誌からも銀行業国内小売部門第一位をはじめ、数々の賞を頂いています。これらからわかるように、当行がカスタマーサービスに懸ける真摯さはカンボジアの銀行業界でも認知されています。
当行はマレーシア国内第三位の金融グループであるパブリック銀行グループの完全子会社であり、親会社の総資産は93,206百万米ドルにも上りますが、民間会社のみで見ますとマレーシア最大となります。2013年末には時価総額20,935百万米ドルを記録しています。開業以来安定的に成長し、顧客需要にマッチしたサービスの提供を続けた結果が利益という形で表れています。
――日本のマーケットについて、どのように考えますか。
トン 近年の日系企業によるカンボジアでの投資実績は急速に伸びています。CDC(カンボジア開発評議会)のデータによると、日系資本の投資額は2010年頃から上昇傾向にあり、2014年上半期では300を超える企業がMOC(商業省)に登録されていると報告されています。日本からの直接投資額は2012/2013期は328百万米ドルに達したとCDCの報告があり、PPSEZのみで言いますと47.5百万米ドル、その経済特区内の60%が日系企業との報告があります。資本金205百万米ドルのイオンモールが6月30日に開業しましたが、プノンペン最大のショッピングモールであり、近隣ASEAN諸国に比べた人件費の安さと税制面での優遇と相まって、これを機に更なる日系企業の進出が今後数年続くものと思われます。
事実、当行では2012年頃から日系企業の進出に着目し、日本人担当デスクを設置しました。日本語でのサービスは当行とのコミュニケーションの為だけではなく、新興国に進出する日本人の皆様へのサポートを目的としています。
――カンボジアには銀行が多いですが、良い銀行を選ぶためにはどうしたら良いですか。
トン カンボジアは近年目覚ましい進歩を遂げており、世界の経済危機を横目にここ3年のGDP経済成長率は平均7%を超えています。所得比率の上昇、高学歴者の増加で顧客の見識も高まっており、要求も細かくなっているため、銀行の選択にも厳しくなっているように思います。銀行を選ぶ時は、その銀行の資本力と実績やカスタマーサービスの評価、更に革新的な金融商品の有無を基準にします。
カンプ銀行では総合金融サービスのほかに24時間可能なオンラインサービスもあります。さらに行外送金や商品決済、デビットやクレジットカードの発行等、融資関係も含め魅力的な商品やサービスがあります。
当行の10階建て自社ビルは市内中心商業地に位置しており、地下5階/100台以上の駐車スペースも完備しており、顧客のアクセスにも便利と言えるでしょう。落ち着いた環境で取引を希望する富裕層向けのVIP室も、本店と毛沢東通り支店でご提供しております。さらに、当行のキャッシュカードは全国250を超えるATMでのご利用が可能です。
当行は2014年6月にりそな銀行、埼玉りそな銀行、近畿大阪銀行と業務提携しました。これは、カンボジアと日本、双方向のビジネスに対する支援体制強化の決意の表れです。顧客へより良い投資商品のご提供、事業機会への支援体制となることと思います。また、日系企業と取引のある国内の貿易会社にとっても、日系銀行との業務提携と親銀行が有する世界規模の決済口座を駆使することにより、決済や取引の迅速化とコスト削減をもたらすと思います。
銀行の選択の際は、信用と自信が重要な点となります。カンプ銀行の22年という長きにわたる実績は、内戦時代と経済危機を経験したこともあり、顧客の皆様の信頼を頂けている要素でもあります。
――将来の銀行業界はどのように変わると思いますか。
トン 技術の進歩により、銀行業界はシステム処理面において更に激変すると思います。決済処理やATMなどもより便利になるでしょうし、モバイル/インターネットバンキングも今後数年で更に拡大するものと思われます。カンボジアは現金主義の歴史が根強く、主要通貨も米ドルです。しかし今後、より多くのカンボジア人が銀行に口座を持ち、小切手や送金機能を使うようになることも全体の底上げになると考えています。(取材日/2014年8月)