2015年9月1日
――ブリンザーさんはカンボジアに住んで長いですよね。簡単な自己紹介とビジネスをされるようになったきっかけを教えて下さい
タシロ・ブリンザー(以下、ブリンザー) 私はドイツ出身の45歳です。カンボジアに住んで14年、ブレイン・コミュニケーション(以下、ブレイン)で働いて4年経ちました。我が社は共同で立ち上げ、私はマネジングダイレクターとして関わっています。元々アジアを旅していてその途中にカンボジアに来たのですが、気に入って住み着いてしまいました。ビジネスを始めるのも容易だったのが決め手でしたね。元々ドイツでメディア関連の仕事をしていて(フォトエディターを経て、雑誌出版関連)、最初は半々で生活していました。その後拠点を移しましたが、この14年の進歩はすごいと思います。
――カンボジアの欧州商工会議所の中でも御社は存在感がありますよね
ブリンザー ブレインはPR広報活動やイベントのオーガナイズをメインにやっています。顧客はカンボジアローカルから国際企業まで様々です。GLOBEという雑誌の発行もやっていますがそちらは別会社の管轄になります。ブレインは2011年に創設し、EU/ASEANサミットなども手掛けてきました。プノンペンの有名イベントとして定着しているオクトーバーフェストもメインの仕事の一つですが、最近は業務範囲も幅広くなってきました。近年はコミュニケーション戦略の構築関連も増えてきましたね。会社は10名で運営していますがカンボジア人と外国人の半々です。
――それではメディア業界の事情について、また業界を取り巻く環境についてお伺いできますか
ブリンザー カンボジアのビジネス環境の動きは加速していて、同業者も増加し競争も激しくなってきたと感じています。それとともに内容もプロフェッショナルになってきているので良い傾向だと思います。ASEAN統合に向けてローカル企業も国際的に競争力を高める必要がありますから、業務内容を見直したり、より内容の濃いものに成長していく動きがあり業界全体の質も上がっていて活発だと思います。
プロモーション面は、昔はメディアに何か掲載してもらうのにもすべてお金がかかりましたが近年はそれも正常化していて、国際基準に追いつきつつあると思います。ジャーナリストが取材をしたり、こちらが情報提供をしたりと持ちつ持たれつの環境が成り立ちつつあります。そして近年のソーシャルメディアの出現によりずいぶん変わりましたが、古くからある企業は新しいメディアに手を出さずに従来の新聞やテレビに頼りやすいと感じます。
また、特長としてはカンボジア人はそこまで「読む」という行為をしないことですかね。欧米人は本や新聞をよく読みますが、ここは過去の教育の影響もありそこがまだ抜けています。感情に訴えることが反響につながるポイントです。
――他社との違い、今後の戦略などを教えて下さい
ブリンザー 我が社の独自性は柔軟に動けるチームでしょうか。いつでも気軽にスタッフ同士でブレインストーミングできる環境にしています。悪く言えば、厳しくせずのんびりゆったりという感じですが、私はそれが長所だと思っています。今後のゆっくり確実に自社の顧客の満足度を上げていくことですね。それにより、業績も伸びてくると思います。
――日系企業へのメッセージをお願いします
ブリンザー 私はカンボジアに住んで長いですが、その間の経済成長は目を見張るものでした。会社としても大きな間違いを犯さない限りは一緒に成長できると考えています。新しい会社を立ち上げても人材や顧客、経験が揃うまで3~4年かかり、私たちもようやく落ち着いて業務に集中できるようになりました。日系企業はきちんとしていて経験も豊富なので、そのような会社がカンボジアに増えてくれればと思います。カンボジア人にも経験をシェアしてもらえたらと思います。(取材日/2015年3月)