2016年6月3日
(前回からの続き)
―――カンボジアの金融業は今日までどのように成長しましたか。
レオニー・レスブリッジ(以下、レスブリッジ) カンボジア経済はとても急速に成長しています。多くの金融機関が設立され、信用度が急激に上昇しています。金融サービスやシステムもより高度になり、顧客満足につながっています。また。他国と比べてもカンボジアの信用度の上昇は速いと思います。今後は、カンボジアの中央銀行が増加する金融機関をどう規制して適切に進めて行くか、また保険によるサポートの充実など、必要になる役割が増えると思います。
――― 貴行の競合が増えることで金融業界や利用者へどんな影響がありますか。
レスブリッジ 一般的に、金融機関が多く集まりマーケットの信用性が高まることが経済発展に繋がります。金融機関ごとに役割がそれぞれ違っていて、マイクロファイナンスもカンボジア経済で大切な存在です。その中で当行は他の金融機関との競争に目を向けるよりも、国際金融機関として自社の分野に集中しています。マーケットに資本を呼び込み、マーケットを拡大することで、カンボジアにとっても自社にとってもさらに可能性が拡がるように進めています。
――― ANZロイヤル銀行のサービスの特長とはなんでしょうか。
レスブリッジ 3点あります。1点目は真に顧客に寄り添ったサービスをしていることです。時間をかけてお客様と関係性を築いていきます。2点目は我々がカンボジアの地域密着企業である点です。ただ、ANZグループは30か国以上で運営していて、その豊富なネットワークでメコン経済圏は元よりアジア全体から情報やサービスを提供することができます。3点目は我々がこれまで築いてきた長い歴史の中で実績と経験に基づいたソリューションを提供できることです。
――― なぜANZロイヤル銀行は選ばれているのでしょう。
レスブリッジ 顧客第一のサービスを提供しているからだと考えています。我々は「お金を売る」のではなくサービスを提供する「パートナー」でなくてはいけません。顧客第一でさまざまなソリューションを提供し、強い関係性を築いていることに加えて、ANZグループの国際的な信用力が顧客に安心感を与えることができているのだと考えます。
―――マイクロファイナンス業界の成長に対してどう思いますか。
レスブリッジ マイクロファイナンスはカンボジア人の生活を支えていて経済発展にも貢献しています。中央銀行によるマイクロファイナンスの規制は必要だと思いますが、お金の運用を理解していない人々に、安全にお金に対処できるよう教育することも必要だと思います
―――モバイル決済が増えたがこれに対してどう思いますか。
レスブリッジ 中央銀行が電子決済の導入を進めていますが、利用者にとって便利になるので良いことだと思います。近年、当行でもオンラインバンキングを導入していますが、これはカンボジアの成長を支える為にも、市場のニーズの変化に対応する為にも、重要なことだと考えます。
―――将来の金融業界はどのように変化すると予想しますか。
レスブリッジ 世界中で金融業界は今までにない複雑な状況に直面しているため、10年後には金融システムにも変化が起こるかもしれません。カンボジアでも今後、競争は激しくなっていくことが予想されます。電子取引やネットバンキングをはじめとするサービスでお客様に満足頂ける、信頼性の高い安定的な銀行が今後、勝ち残っていくと考えています。
―――日系企業が増えてきているがこれに対してどう思いますか。
レスブリッジ ぜひ日本の企業にもっと来て欲しいです。日本企業はカンボジアで先駆者的な位置づけでとても重要な役割を担っています。日本の企業は、イノベイティブなソリューション、優れた企業文化と教育システムや労働環境をカンボジアにもたらしてくれます。特に小売業、自動車、その他の製造業などで日本企業のシステムはカンボジア経済にとって とても大切です。カンボジアに進出する日本の企業が投資に見合う十分な利益が出ることを願っています。
―――日系企業にアピールしたいことはあれば、是非お願いします。
レスブリッジ まず、当行はカンボジアのことを熟知しています。その上で、高いソリューション提供能力と利用しやすいサービスで日本企業のファイナンスをサポートできます。その他にもANZグループの世界的なネットワークもあります。日本の方々にぜひ国際基準のサービスを提供できる当行の良さを知って欲しいと願っています。我々は日本企業のビジネスを精いっぱいサポートしたいと思っています。カンボジアでお会いできる日を楽しみにしております。(取材日/2016年4月)