2014年6月6日
私たちはHR会社として、HRコンサルティング、人材紹介サービスを提供しています。人材紹介の面では、特にマネージャーなどのエグゼクティブ人材のヘッドハンティングに力を入れています。HRコンサルとしては、しっかりとしたHR部門の立ち上げを支援しています。実は、カンボジアではちゃんとしたHR部門を持つことは難しいことなんです。カンボジアで高い能力を持った人材を探すのは難しいですし、いたとしても大変高価になってしまいます。そういう方々をしっかりと探して雇用できるようなHR部門を、ノウハウとシステムで作るお手伝いをしています。
2012年に私たちが参入した時に、カンボジアのHR会社のほとんどはローカル系でした。彼らは国際的な採用手続きという意味ではまだまだ未熟なものでした。国際標準の考え方、手段を併せ持って参入してきたことが、私たちと競合他社との大きな違いだと思っています。もちろんカンボジア独自の方法も時には有用ですが、デメリットも有ります。そのような競合の中で私達の会社は違いを表していました。
私の妻は人類学者で、2001年からカンボジアに住んでおり、フランスとカンボジアを行き来する生活でした。フランスに帰る気がない彼女と一緒にいるために、カンボジアで起業することを決めました。愛のためにカンボジアで起業することを決めたのです。
前職では経営コンサルタントをしていました。今の会社には二人のパートナーがいるんですが、その二人がHRの出身で専門家なんです。カンボジアのマーケットを見た時に、経営コンサルよりもHRコンサルのほうが需要があると考え、HR事業をはじめました。
カンボジア人の特徴は、フレンドリー、勤勉、環境が気に入れば効率もあがり、成長も早いことです。問題はスキルです。学校教育も職業教育も十分でなく、国際的な企業で働いた経験が少ないため、国際標準的な働き方に慣れていないといった問題もあります。
他国と比較して、英語力の高さが挙げられます。英語をとても良く喋れる方が多いです。次にSNSとの親和性の高さです。カンボジアの方々はとてもよくSNSを使用します。フェイスブックやリンクトインなどのSNSを使うことができれば、多くの候補者を集めることができるでしょう。
また、他のアジア地域と同じように、現実でのネットワークもとても強いです。家族や友達などのコミュニティを通じて、スタッフを探すというのもカンボジアでは有効だと思います。求人広告やSNS、個人的なつながりなどをうまく組み合わせて併用することが、カンボジアで人を採用する際には一番ですね。例えば、私たちはホテルやレストラン関係のお客様が多いですが、リクルートメントスタッフは、その業界で長年の経験があり、とても広いコネクションを持った人物です。
カンボジアで、カンボジアの人々と働くためには、多大な柔軟性を必要とします。私は日本の方のことはよく分かりませんが、カンボジアに来るアジア企業の共通の問題点は、トップダウンの経営方式をとっていることです。残念ですが、カンボジアではそのような経営はうまく行きません。
カンボジアの地で上手くやるためには、彼らのことをよく知り、信じ、彼らが働きやすい職場を作ることが何よりも重要です。カンボジアの方々にとって、働きやすい職場とは、雰囲気のいい、和気藹々とした職場です。トップダウンのような形式は本当に嫌がられます。日系企業のみに限りませんが、カンボジアに来るすべての会社へのアドバイスは、規律を作って正そうとするだけでなく、雰囲気をつくること、関係性を作ることが必要だということです。簡単なことではないですが、とても重要な事です。(取材日/2014年1月)