(2016/11発刊5号より)
日系企業に勤めるカンボジア人スタッフは、何を思い、努力しながら働いているのでしょうか。プノンペン最大の娯楽施設ともいえるイオンモールで活躍するブット・ティランさんに、日系企業や日々の仕事に対する思いについて尋ねてみた。
生まれ育ったカンボジアではない、外国の文化を知りたかった。イオンモールに就職してから、働くことが楽しくして仕方がない。
2013年8月、まだ建設中だったイオンモールで、リーシングマネージャーのアシスタントとして働き始めた。きっかけは前の職場の上司からの紹介だった。
「面接でエージェントから聞かされるまで、日系企業だという事さえ知りませんでした。でも、日系と聞いてさらに興味が湧きました」。
その後、ティランさんは結婚・出産。テナント管理に長けていると評価され、出産休暇から復帰した頃にマーケティング部門の副マネージャーに抜擢された。契約書や合意書に関する事務作業のほか、テナントの売上や、テナントが何か困っていることはないか等を確認し、問題があれば自身の経験なども活用して解決策を提示する。
「大学卒業前に韓国系アパートメントに勤めていた時は、クライアント管理を任されていました。今のような仕事は、まさに得意分野なんです」と語る。
入社から今年で3年目になるティランさんは、日系企業の礼儀正しい文化が好きだ。日本文化についても詳しい。よく知るきっかけになったのは、大学の卒業要件であるプレゼンテーションのテーマとして日本文化を選んだことだ。
「母国語と英語以外の選択肢として日本語を勉強しようと思っていたので、以前から日本には興味がありました。また、プレゼンテーションのためにたくさんの情報を集めたので日本文化にはとても詳しくなりましたし、モラルがあって礼儀正しい文化がもっと好きになりました」。
この時受けた日本への印象は、イオンモールに就職してからも変わっていない。「上司の日本人マネージャーも、いつも礼儀正しくしてくださいます。部下の自分に物事を頼むときにも、『ごめん』『お願いします』と声をかけてもらえて、その時はとても幸せな気分になるんです」と、ティランさんは笑顔で話してくれた。
仕事ではいつも、チームを組んでクライアントの問題解決に臨んでいるため、信頼できる上司や同僚とのコミュニケーションがとても重要だと、ティランさんは語る。良好なコミュニケーションを可能にしているのは、オープンな職場の雰囲気だ。
「部署の垣根を越えておしゃべりを楽しむことができるのも、嬉しいです。どんなことにもチームで取り組んでいるので、もし問題が発生したら、集まってみんなで意見を出し合って解決します。何か失敗があったとしても、それをチームの1人だけの責任にすることは絶対にありません。ここで働いていて、プレッシャーを感じたことが全くないんです」。
コミュニケーションが大切なのはチーム内だけでなく、テナントとの間でも同じだ。日頃から積極的に関わりあうことで、良い関係を築いている。
海外へ行く機会をくれた会社には感謝
朝から晩までみっちり働き、帰宅後は生後7か月の息子の世話をしながら、夜間のテナント状況を家からも逐一チェック。仕事が終わっても、小さな息子が寝付くまでは母である自分も眠れない。子育てと仕事の両立はとても難しいと思われるが、ティランさんは周囲から支えられつつ、毎日楽しんで働いている。自分が任されている仕事に、大きなやりがいを感じているからだ。
イオンモールではCJCCと提携し、日本のビジネス文化や日本人とのコミュニケーションについてのトレーニングを、全スタッフに提供しているほか、ティランさん自身はマーケティング部門の副マネージャーとして、テナント管理の他に国外マーケット調査も担当している。
「イオンモールでは、色々なことを学ぶことができます。CJCCとのトレーニングだけではありません。私には、国外マーケティング調査のために、タイやシンガポール、マレーシアへ行く機会をくれました。この仕事が好きです。会社には、本当に感謝しています」。
とはいえ、マーケット調査をやることになった時は初めての事ばかりで覚えること多く、大変だった。
「ブランドの名前やその発祥地、どの客層に人気なのかなど、今までは知らなかった外国の知識を色々と調べ、暗記しなければいけませんでした」。
今までやってきた、アパートメント管理の仕事や英語教師としての職務。その時は英語ができさえすればよかったが、イオンモールではそうはいかなかった。
「今まで経験していないことに挑戦できたり、新しいチャンスをくれたりすることが仕事のやりがいに繋がっています。働いていて、それがとても楽しいんです」。
毎日懸命に働くティランさんは、家庭のために、子育てと仕事を両立させたいと語ってくれた。
「今は小さい息子のことを第一に思っていたいですし、家族のために今後も働き続けなければいけないと思っています。将来の選択肢は色々あると思いますが、たくさんの学びの機会をくれたこの会社にはとても感謝していて、離れる予定はありません。毎日とても忙しいですが、この素晴らしい職場に勤め続けたいです。そして、私を信頼して任せてくださったことは何でもやりたいと思います」。
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