1990年代インターンシップでカンボジアを訪れたことがきっかけとなりカンボジアで起業した。
カンボジアで最も有名な本格フランス料理レストラン、トパーズを成功に導き、
その後レストラン・ホテル・デリショップなどカンボジアのホスピタリティー業界を牽引してきた。
そんなタリアスグループCEOアルノー・ダルク氏に、カンボジアでの事業展開や問題などについて話を聞いた。
カンボジアでのインターンシップを通してカンボジアでキャリアを積むことになったダルク氏。当時彼が魅力に感じたこととは。
私はフランス南西部の出身で、1994年にワインが有名なフランスのボルドーにあるビジネススクールに通っていました。ビジネススクールでは、最終学年の間に海外でインターンシップを行うことが義務付けられていました。1990年代のヨーロッパは将来の展望が明るいと感じることができず、私はダイナミックで活気に溢れたアジアの地を訪れてみたいと考えていました。
偶然フランスのボルドーで出会った紳士がいて、彼はプノンペンにあるホテルのソフィテル・カンボジアナと繋がりがあり、サプライヤーを行っていました。私は彼に協力を求め、インターンシップ先を探すのを手伝ってもらうことになりました。
彼がホテルと交渉してくれた結果、私はソフィテル・カンボジアナでインターンとして働くことができるようになったのです。そこで3か月間コスト管理の仕事を担当し、ホテルのゼネラルマネージャーからコスト管理の専門家として採用を確約されました。ビジネススクール卒業後、再びカンボジアを訪れ、正式に働くことになりました。こうして私のカンボジアでのキャリアが始まったのです。
当時、フランスでは若者に対する兵役義務がありました。私も兵役に行かなければならなかったのですが、フランスには16ヶ月間国有企業で働けば、兵役義務に代わるものとして認められるという制度がありました。カンボジアで働くことを決めていた私は、自らソフィテル・カンボジアナを経営するパリのアコーホテルグループとフランス外務省に交渉しました。その結果、ソフィテル・カンボジアナでコスト管理者として働くことを兵役と認めてもらい、そこで16ヶ月間働きました。兵役期間においても、ビジネスのキャリアを積むことが出来ました。
その頃にはカンボジアが大好きになっていて、ビジネスを行うのであればカンボジアだ!と考えていました。なぜならカンボジアはとても可能性のある国で、ビジネスチャンスがたくさんあったからです。私はビジネススクール在学時に会社の起業と経営について学んでいたので、起業家になって自分の会社を経営したいという考えを持っていました。そして1997年2月に、プノンペンでタリアス(Thalias)という会社を設立したのです。
彼がホスピタリティビジネスに携わることになったきっかけとは。
私自身、元々ホスピタリティー業界で働く一家に生まれたので、私自身がホスピタリティービジネスの会社を立ち上げたのはごく自然なことでした。幼い頃、私は父や祖父が経営していたホテルやレストランで、厨房の使い方やハウスキーピング、給仕の仕事を目で見て、実践しながら生活をしてきました。私自身ホテルの専門学校には行きませんでしたが、フランスでビジネスを学び、ホテルで働く知識や能力を自然と蓄えてきました。この業界で働くことになったきっかけは血やDNAによるものでしょうね。
タリアスでは、初めはホテルやレストランへの物品や食品のサプライヤーを行っていました。私が最初にカンボジアの地を訪れた時、プノンペン内にあるホテルはソフィテルカンボジアナのみで、1997年にラッフルズとインターコンチネンタルグループなどのホテルグループが参入した時、彼らはみな物品や食品の供給元を探していました。そこで私は会社を立ち上げ、様々な物品をヨーロッパから輸入し始めました。私は良い食品が好きで、食べるのも、料理するのも好きです。もちろん良いワインも好きです。ヨーロッパで優れた良い食品をカンボジアに届けるのはとても素晴らしいことだと感じています。
私はカンボジアで好きな環境で働くことができているので、私は仕事をしているとは思いません。夢の中で生きていると思います。
カンボジア初本格フランス料理レストラン、トパーズのオープン時のエピソードについて。
1997年には、ビジネスパートナーと共に本格フランス料理レストラン、トパーズ(Topaz)をオープンしました。当時国際的なホテルの中には本格フランス料理レストランはありましたが、トパーズはホテル以外で独立した、初のエアコン完備のレストランでした。
オープン初日、電灯をつけるとすぐに客が押し寄せ、席が埋まるほど多くの客を迎えましたが、想定外のトラブルや経営を行う上での課題・問題もたくさん出てきました。
それは、開店直後人材が揃わなかったことです。当時、多くのスタッフはそういった場所で働いた経験が圧倒的に不足しており、忙しい中トレーニングもままならず、お客様に十分なサービスを提供することができませんでした。そのときは本当に厳しい状況でしたが、自分でビジネスを立ち上げたことや現地スタッフとともにレストランの基礎を築いていったことには満足感を感じていました。困難ではありながらも苦には感じず、むしろ幸せな時間であったと感じています。
その日、第一歩を記したトパーズは今ではカンボジアで大きな成功を収めています。
ちなみに2番目のエアコン完備のレストランは日本食レストランだったんですよ。残念ながらそのレストランはもうありませんが、素晴らしいレストランで私も大好きでした。
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