「カンボジアは、ドナルド・トランプ氏がホワイトハウスに復帰したことで、米国の貿易政策の変化から恩恵を受ける可能性がある」と、CBREカンボジアの会長マーク・タウンゼンド(Marc Townsend)氏は述べた。この見解は、プノンペンで開催されたイベント「CBREカンボジアのFearless Forecast 2025」の中で示された。
タウンゼンド氏によれば、近隣のベトナムが中国に対して以前課されたような貿易関税の対象となる可能性があり、その結果、カンボジアに製造業の機会が生まれると予測されている。ベトナムは現在、米国との大きな貿易赤字に直面しており、これが関税戦略のターゲットになる可能性があるという。
一方、カンボジアは外国直接投資(FDI)や税制に関する新たな法律を導入し、長期的な企業誘致を目指す改革を進めている。
経済アナリストのトム・ゴー(Tom Goh)氏は、「トランプ氏の復帰がカンボジアにとって大きなチャンスになる」と述べるが、関税戦争が再び起きるかは不透明だと指摘した。過去の関税戦争では米国の消費者が最も被害を受けたため、今回はより慎重な政策運営が求められるという。
ゴー氏はさらに、「カンボジアがベトナムからの工場移転を引き寄せるためにはインフラ整備の強化が必要だ」と述べた。これまでベトナムは、インフラや人材基盤の優位性を活かし、米国を含む各国から巨額の投資を誘致してきた。
ベトナム国立大学のリナ・レ(Lena Le)氏は、トランプ大統領が掲げる「アメリカ・ファースト」政策が推進される可能性に言及し、これはベトナムの輸出に影響を及ぼす可能性があると指摘した。一方で、トランプ大統領の取引重視の外交政策が米中対立の中でベトナムと米国の戦略的パートナーシップを困難にする可能性もある。
2024年初頭の米国の貿易データでは、ベトナムとの貿易赤字が前年同期比20%増の1020億ドルに達している。
さらに、トランプ大統領は2025年2月1日からカナダとメキシコからの製品に25%の関税を課すと発表している。また、米国に輸入されるほぼすべての製品に関税を課す可能性にも言及している。