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  • 経済
  • 2017年1月1日
  • カンボジアニュース

カンボジア中央銀行 金融機関のすべてのATMを繋ぐ動き [経済]

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(c)Phnom Penh Post

 カンボジア中央銀行であるカンボジア国立銀行(NBC)は、2017年から、すべての地元金融機関のATMとPOSマシンのアカウントを繋ぐことで、顧客が資金にアクセスしやすくする新しいシステムを開始すると発表した。これにより、デビットカード1枚でどの金融機関のATMやPOSからでも利用できるようになる。プノンペンポスト紙が報じた。

 NBCのチア・セレイ総局長は、「このシステムは、銀行や預金受入マイクロファイナンス機関(Microfinance Deposit-taking Institution=MDI)の全ATMとPOSマシンをNBCが管理するシステムに接続することで、ある銀行が発行したデビットカードを持つ顧客は、国内のどのATMやPOSでも同じカードが利用可能になる」と説明した。

 現在、各銀行およびMDIは、ATMとPOSマシンのネットワークを独立して運営しており、デビットカードを発行した銀行とは別の銀行のPOSで支払いをすることはできない。

 チア総局長は、「このシステムは、2017年中に数行と共同して立ち上げる予定で、すべての銀行とMDIは、2018年1月1日までにサインする必要がある。現在は、NBCと金融機関の代表者が、技術的側面、利用条件、また銀行間取引における手数料について協議しており、金融機関と少額で契約を結ぶなど、NBCの利益のためではなく、利用者への利益を期待している」と述べた。



 カンボジアでは電子決済システムが急速に進化し、消費者への資金アクセスの改善や、リアルタイムの貿易取引が求められている。NBCのデータによると、2015年末には全国で1138万枚のデビットカードが発行され、1118台のATMと9639台のPOSマシンが設置されている。

 発行されているすべてのデビットカードの約6割を占めるアクレダ銀行イン・チャンニー社長は、「新しいシステムにより、複数の銀行口座を持つ人々が、すべての取引をデビットカード1枚で済ませられる。また、新しいATMやPOSマシンに投資したくない銀行やMDIは、アクレダ銀行など大手金融機関のネットワークに頼ることができ、インフラスコストを削減できる」と述べた。

 カンボジア最大のMDIの1つであるハッタカクセカー(HKL)のホウ・イエン・トンCEOは、「ATMやPOSネットワークを広く持つ金融機関にとっては、これにより取引手数料を得ることが良い機会だ。一方ATMに投資する資本が限られる金融機関は、デビットカードを発行するだけで他の銀行の端末を使うことができる」と述べ、「HKLは現在、全国に120台以上のATMを運営しているが、さらにネットワークを拡大し続けるつもりだ」と付け加えた。

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