(c)Phnom Penh Post
国外旅行が壊滅的な今、各国の観光産業が復活できるかどうかは各国政府の能力にかかっている。カンボジアも例外ではないが、批評家は政府の能力に対して懐疑的である。プノンペンポストが報じた。
規制が緩和され、これまで外国人観光客が訪れていた国内観光地は、次第にカンボジア人旅行者で賑わうようになっている。しかし、それによるカンボジアの観光産業への貢献はわずかで、今年の損失額は30億米ドルに上ると公式に予測されている。
[隣国と比べ観光客数は少ない]
カンボジア経済の4つの柱のうちの1つである観光産業は、2019年、1位の建設(および不動産)産業に次いで国内総生産の2位(18.7%)を占めていた。その年は1993年以来最多数である約660万人の外国人観光客がカンボジアを訪れ、観光収入は50億ドル近くに上った。
しかし、隣国諸国と比較すると観光客数は未だ少ない。タイでは2018-19年にかけて外国人観光客が3820万人から3980万人へと4%増加し、今年の観光収益も611億ドル(昨年から3.05%増)が見込まれている。また、2019年にベトナムを訪れた外国人観光客は1800万人(前年から16.2%増)に上り、300億ドルの観光収益があった。
[課題と解決策]
カンボジアの課題は何なのか。多くの人は、政府の自己満足と新しい観光地発掘のための創造的なアイデアが欠如していることの2点を指摘する。
国外向けのマーケティングは、アンコールワット頼みに終始してしまっている。数十年前にタイやベトナムがそうしたように、カンボジアも地元の人にしか知られていない隠れた魅力のある地域を国際的な観光地にしていくことで、自国の観光産業を隣国のそれに匹敵するものへ発展させられるかもしれないと評論家は言う。
2011年のカンボジア最高国民評議会の調査によると、外国人観光客の90%が1回目の訪問者でリピーターではなかった。カンボジア政府が、外国人観光客800万人という2020年の目標を達成するためには、観光を多様化する必要がある、とアジア開発銀行(ADB)は報告書で指摘した。
観光産業の活性化を目指す政府のマスタープランには、短期アクションプラン(2019-2020)が含まれており、これには観光商品の多様化、観光客の滞在期間の延長、競争力の強化、交通面の改善、世界遺産のあるシェムリアップやプレアビヒアに新たなアイデンティティを確立させること、といった目標が盛り込まれている。
メコンストラテジックパートナーズの共同創設者兼マネージングディレクターのスティーブン・ヒギンズ氏は、「ワクチンや治療法が確立するまで、観光業界は非常に困難な局面にあり続けるだろう。政府と観光業界が協働すれば、国外からの旅行客に頼らなくて済むほどに国内観光を活性化することができるはず」と述べた。
新型コロナウイルスは、単に困難だけではなく観光産業を活性化させるための機会を与えてくれている。この期間に新たな観光地の発掘等によって国内旅行を盛り上げることで、新しい希望が見えてくるかもしれない。