カンボジアに進出する日系企業のための
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2018年12月17日
カンボジア進出ガイド

【人材・コンサル】

269 カンボジアのHR・コンサル②(2018年11月発刊 ISSUE09より)

現地採用外国人 Foreigner Local Employees

 カンボジア人のマネージャー職や技術職の月給相場が高止まりする中、費用対効果の点で注目されるのが現地採用外国人の存在だ。外国人にとっての生活環境も急速に向上するなか、彼らは自らカンボジアに身を投じて働くことを希望し、想い入れも強い。また、一方でスタートアップ企業の場合、事業立ち上げにおける初期段階において外国人を雇いたいという声がある。

 現地採用の外国人求職者の特徴として、かつて旅行で訪れた、学生時代にボランティア活動をしていた等、カンボジアという土地に思い入れがありカンボジアでの就職を希望するケースが多く見られる。また、アジアで既に働いている方がアジア地域内での転職を考える際、ビザが取りやすいという理由からカンボジア就職を検討する場合が、特にここ最近で多くなっている。

人材の募集方法 Approaches to recruitment

 求人方法にはラジオ、新聞、フェイスブックや求人サイトの利用、知人やスタッフからの紹介などの方法がある。募集に際し時間的な余裕がある場合には、CJCC(カンボジア日本人材開発センター)が開催する就職説明会に有料で参加することもできる。



 求人サイト「ボントム(bongthom.com)」を運営するクロマカンパニーのマネージング・ダイレクター、ケン・ホワイト氏は、「低コストでかつ、専門的な人材を探しているなら、我々のサービスを使うべきです。リクルートエージェンシーに行くと、より包括的なことをしてくれるかもしれませんが、それなりの手数料を支払うことになります。私たちのプラットフォームに広告を出せば、自らの会社名を使用し直接接触することができます」と語る。

 しかし、募集や面接の作業には多大な労力と時間的コストを費やすため、人材紹介会社にアウトソースすることも検討したい。報酬は採用した人材の月給の2か月分。採用が決定して初めて課金される成果報酬制が主流で、紹介された人材が早期退職した場合は、手数料の返還や代替候補者の紹介などの保障がある。

 また、人材紹介とは別のサービスとして、人材派遣がある。即戦力となる人材が見つかり難いカンボジアの場合、社内における人材育成は不可避だが、人材育成コストの回収も考慮すると、長期の勤続期間が前提となる。しかし、低賃金な職種ほど離職率が高い傾向があり、そうした職種の従業員数が多い会社の解決策として期待できる。



 CDLのコン・ラタナ氏は、「ホワイトカラーの募集をアウトソースする場合は人材紹介サービスが適していますが、契約社員やワーカーなど離職率の高い特定の職種の場合は採用コストの面からみて人材派遣サービスが適しています。日本でいう請負業務はカンボジアでアウトソーシングと呼ばれていますが、私たちは、国際的ブランドを保有する大企業をクライアントに複数持ち、こうしたアウトソーシングの分野でもノウハウや実績が抱負です」と語る。従業員の採用・維持・育成を専属部署で内製化するのも良いが、本業に注力するため外注の道も一考の余地があるだろう。

現地パートナーとのビジネスマッチング Business matching with local partners

 カンボジアで苦戦する日本企業には共通した特徴があり、その一つとして良い現地パートナーに恵まれてない、または現地パートナーがいないことが挙げられる。カンボジア日本経営者同友会(CJBI)という団体が、日本とカンボジアのビジネス機会を創出するため2016年に設立された。CJCCが同団体の事務局機能を担っており、現地パートナー探しの協力をしてくれる。



 CJBIのアドバイザーを兼務するCJCCの大西氏は、「カンボジアへの企業進出規制は少なく進出はし易いと思います。但し良いパートナー企業に恵まれることが大変大事な成功要因になります。現地にあったサービス、商品開発、メンテナンス、土地の取得など、きちんとしたパートナーがいないと何をするにしても大変どころか成功する事はできません。CJBIは信頼できる企業の集まりという団体である為、入会審査もしっかりしております。カンボジアにネットワークも持たない経営者様にとっても安心してお付き合いができる人たちの集まりです」と語る。
 
 現地パートナー不在のままで、カンボジアの流儀に沿ったビジネス戦略を局面ごとに思案し実行することは難しいといえ、かつ一方で、日本企業との提携を模索しているものの方法がわからないというカンボジア人経営者も多いことから、同団体の存在意義は大きいと言える。


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