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2017年1月4日
カンボジア進出ガイド

【医療・医薬】

171 カンボジアの医療・医薬④(2016年11月発刊 ISSUE05より)

カンボジアの薬局事情 Pharmacy circumstances in Cambodia

 カンボジア国内の薬局では、処方箋なしでも薬を購入することができる。だが、医学知識のないスタッフによって経営されていることが多く、アドバイスを受けることは期待できない。品質が粗悪であったり、保存状態が適切でない場合もある。アメリカにおいて薬剤師資格を取得し、薬局経営も経験したことがあるウエスタン・ファーマシーのCEO、チア・ビラック氏は、「カンボジアの薬局では医薬品の倉庫の温度管理ができておらず、日光が当たることで品質が劣化しているところが多い」と語っている。

 カンボジア国民は経済的な事情から、病院・クリニックを受診する前に、まずは薬局で薬を購入して治療しようとする傾向が強い。なぜならば、病院を受診するよりもお金がかからないからである。しかし、薬局では薬剤師の大学を卒業していないスタッフが処方箋なしで医薬品を販売している所も多く、市民が適切な医薬品を入手できているとは言い難い。



 ユーケア・ファーマのブランド名で11店舗の薬局を経営するゲオリンクグループのセドリック・ブランチャード氏は、「我々は保健省による薬局のライセンスを全て取得しています。ライセンスを持つことで薬局としての信頼性を高め、また、どのサプライヤーから来たかを常に追跡できるので、信頼のおける商品と薬を取り揃えているんです。また、医療に期待される最高品質の保証をお客様に提供していますし、スタッフのスキルアップと指導のため定期的なトレーニングを実施しています」と語った。

 近年はチェーン展開する薬局も増えており、また日系薬局のイマトクファーマシーがオープンするなど、薬局の水準も徐々に上がってきている。症状や体調により、適切な処方をしてくれる信頼できる医療機関選びをしたい。

労働安全衛生 Industrial Safety and Health

 カンボジアの労働法では、労働者の安全確保・健康維持や職場環境の整備に関して雇用者が順守すべき内容が定められている。例えば、機器・設備・道具を安全な状態で設置・維持すること、衛生的な飲料・食事を用意すること、業務中・通勤中に発生した事故・病気について必要な医療を提供すること等がある。

 また、50名以上を雇用する雇用者は、20㎡以上の診療室を設置する義務があり、労働者の人数に応じて必要な医療者数・ベッド数も定められている。労働監督官による監査も行われるが、その基準は業種ごとに異なっている。

 日系医療機関の進出支援を行なうメディエル代表の佐藤創氏は、「実際にはこれらの条件をすべて満たしている企業は少ないのが現状ですが、近年労働省の監査が強化され、指導が入ることが増えています。日系企業、特に工場において徐々に労働環境を整える動きが出始めているように感じます」と語っている。事前対応で労働環境を整備することが求められている。


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