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2017年1月4日
カンボジア進出ガイド

【医療・医薬】

170 カンボジアの医療・医薬③(2016年11月発刊 ISSUE05より)

健康管理 Staying Healthy in Cambodia

 カンボジアでは衛生環境への配慮が欠かせない。ローカルの飲食店や市場では適切な衛生処理が行われていない場合が多く、不衛生な飲食店を避ける、氷・水を飲むことを避けるなどの配慮が必要だ。また、野菜は煮沸するかよく洗い、寄生虫の卵などを口にしないよう注意も必要。さらに熱中症などにも注意が必要で、強い日差しに当たりすぎないことも大切だ。

 SICの荒木医師は、「特に男性にですが、中性脂肪や尿酸の異常に高い人が多く見られます。血管が硬くなったりつまりやすくなったり、痛風や糖尿病に繋がるため、毎日の食事の総カロリーや栄養素について、時々見直しをすることが大事です」と、食事管理の必要性を述べている。

 プノンペンの在住日本人の多くはビジネスパーソンであり、忙しさゆえに不摂生に陥ることも多いだろう。SICの野々村医師は生活習慣病について、「カンボジアの在留邦人の年齢層は比較的若いことが想定されることから、生活習慣病といった慢性疾患の有病率は低いのかもしれません。しかしながら、発展途上国に長期滞在する日本人の受診病名を追跡した調査によると、呼吸器疾患や消化器疾患、感染症などといった急性疾患が多いです」と語る。日々の自己管理のほか、年齢に関わらず、体調に異変を感じた場合は重症化しない内に医療機関を受診することが大切だ。

 また、少なくとも年に1回の健康診断によって健康状態を把握することも重要であり、レントゲン検査・エコー検査・各種血液検査等を行なう企業健診を提供しているクリニックも多い。

予防接種について Recommended Vaccinations

 カンボジアの入国に際して予防接種の義務はない。カンボジア滞在にあたり、ケン・クリニックの奥澤医師は、「予防接種はA型肝炎、B型肝炎、破傷風、狂犬病、日本脳炎、腸チフスの6種類をこの順番で受けることを勧めています。日本ですべて受けると半年ほどかかります。カンボジアでは日本と比べて非常に安価に摂取することができますので、カンボジアで摂取するのも良いと思います」と述べている。日本なら全部で20万円を超える予防接種が、ケン・クリニックでは300ドル以下で行なうことができるという。なお、現地の医療機関でワクチン接種の際は、事前予約が必要となる。

産婦人科・小児科の受診 Obstetrics and Gynecology / Pediatrics

 近年は家族でプノンペンに居住する日本人も増えているが、出産は日本で行い、カンボジアで小児科健診を行なうというケースも増えてきている。

 SJHの林医師は、「産婦人科を提供する民間病院がプノンペンにもあり、高いレベルで対応する病院もあります。しかし、新生児の医療という部分では、日本と同レベルとは思わないほうがいいでしょう。また、子どもが病気になったら助からないからカンボジアには住めない、といったことはありません。当院でも小児科の救急対応もします」と述べている。ケン・クリニックには日本人の小児科の専門医が非常勤で診療しており、発育に関する相談や乳児検診などを受け付けている。


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