【医療・医薬】
当地では日本とは違う環境であることを踏まえた健康管理が必要になる。蚊などに媒介されるウイルスや感染症、細菌・寄生虫による急性胃腸炎や生水にも注意が必要である。インターナショナルSOSのウェビン医師は「衛生環境に配慮し、手をしっかり洗い、食べ物の調理をしっかりすることです。ローカルの飲食店や市場では、適切な衛生処理が行われていない場合が多く、簡単に体調を崩してしまいます」と注意を呼びかけている。また、野菜は煮沸するかよく洗い、寄生虫の卵などを口にしないよう注意も必要だ。熱中症などにも注意が必要で、強い日差しに当たりすぎないことも大切だ。また、「カンボジアではまだ風土病も多く、市内で赤痢、コレラ、食中毒、デング熱なども身近に見かけます」と、サンインターナショナルの荒木医師は注意を呼びかけている。
カンボジアではその食生活からか、潜在的な糖尿病患者の数は日本より多い。サンインターナショナルの荒木医師は「中性脂肪や尿酸の異常に高い人が特に男性に多く見られます。血管が硬くなったりつまりやすくなったり、痛風や糖尿病に繋がるため、毎日の食事についてはその総カロリーや栄養素について時々見直しをすることが大事です」と食事管理の必要性を述べている。また、少なくとも年に1回の健康診断によって健康状態を把握することも重要である。
カンボジアの入国に際して予防接種の義務はないが、破傷風、A型肝炎、B型肝炎、日本脳炎、腸チフス、狂犬病など、推奨されているワクチンはいくつかある。「多くのワクチンが、その効果が現れるまでに一か月ほど必要としますので、旅に出る前にワクチンを打つことができるのであればそれが一番だと思います。いくつかのワクチンは自国ではかなり高額でも、カンボジアでは安価に接種することができます。すぐに農村に行く予定がなければ、いくつかのワクチン接種は渡航してからという選択肢もありだと思います」とインターナショナルSOSプノンペンのウェビン医師は言う。現地の医療機関でワクチン接種の際は、事前予約が必要となる。
プノンペンでは日系の歯科クリニック、日本人の歯科医師も増えており、日本人でも安心して治療を受けることができるクリニックの選択肢が増えてきている。その中でも予防歯科処置(プリベンティブケア)に力を入れており、一人一人の歯の特徴に合わせた治療を行っているシゲタ歯科の西原歯科医師は「日本人の患者様には、ただ治療するためだけに歯科に行くことをお考えの方が多いように思います。しかしなるべく予防歯科に関して知識のあるクリニックに通い、半年に1回はクリーニングされることをお勧めします」と語っている。欧米では主流となりつつある予防歯科を気軽に受けることができるのも、在住外国人の多いプノンペンならではだろう。