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2014年11月22日
カンボジア進出ガイド

【医療・医薬】

022 カンボジアの医療&医薬①(2014年9月発刊 ISSUE01より)

医療

カンボジアの医療事情と病院の選び方

 カンボジア全体の医療水準はいまだ国際水準ではない。医療機関の衛生観念の欠如や正しい診断を行うための医療機器の不足など、さまざまな課題を抱えている。複数の日本人専門医による総合診療クリニックであるサンインターナショナルクリニックの荒木良守医師は、「カンボジアの医療水準はいまだ十分に教育された医師や看護師が少なく、黎明期にあるといえます。特に日本と比べて圧倒的に専門医の数が少なく、日本と同じ手術を行うことができる医師はほとんどいないといえるでしょう」と語っている。

 24時間救急対応をしているインターナショナルSOSプノンペンクリニックのクレア・ウェビン医師は病院選びについて次のように語った。「一般的にカンボジアでよい病院を選ぶのは簡単なことではありません。残念なことに、多くの病院が自分たちの能力以上のことができると宣伝をします。しかし、実際には医師の教育不足や医師を監督する医師会が不在のため、信頼できる医療機関とはなっていないのです。病院選びの際は海外で訓練を受けたカンボジア人医師や外国の医師免許を持っているカンボジア人医師を有し、国際標準医療を導入している医療機関を選びましょう」。また、サンインターナショナルの荒木医師は「外国人、特に日本人が現地で医療を受ける際の注意点は、医師とのコミュニケーションをとるのが難しいということでしょう。言葉の壁が一番大きいです。日本人の通訳者(日本語・英語)のいる病院が望ましいです」と述べている。また、受診の際には各種保険のカバー範囲の確認や、パスポート・保険証書など必要書類の持参などについても確認が必要である。

救急への対応

 国内の主な私立・公立の病院で救急治療を受けられる所もあるが、質にはばらつきがある。2、3次救急では、国外に搬送されるケースが多い。タイには数多くの国際標準の病院があり、診断機器、専門医、集中治療室での治療が可能。カンボジアからバンコク、またはシンガポールなどの医療適格地へ搬送される場合は、高額な費用がかかるため(参考:専用機での搬送費、約2〜4万ドル。入院費、手術費等別途)、海外旅行保険に加入しておく必要がある。また、医療アシスタンスサービス(緊急搬送も含む)を提供している病院・企業とあらかじめ契約を結んでおくことも可能である。

保険を選ぶ際のポイント

 カンボジアの医療費は先進国に比べて割安である。しかし、社会保険や国民健康保険がある日本と違い、医療費は100%本人の負担となるため、海外旅行保険の存在は大きい。インターナショナルSOSプノンペンクリニックの日本顧客サポートマネージャーの奥野留美子氏は、在住日本人の保険加入状況について、「日本の海上火災保険会社が発行する海外旅行保険の中で、一般的に大手企業様が被保険者である企業包括保険は保障内容が小額のものが多いです。現地採用の方には十分な保障内容の海外旅行保険をお持ちの方、保障内容が不十分な海外旅行保険をお持ちの方、カード付帯海外旅行保険をお持ちの方、保険は全くなく小額の現金のみ所持されている方などさまざまです」と語った。契約する保険の見直しが適宜必要である。歯科の海外旅行保険については、「普通の海外旅行保険には歯科治療が付帯されているものは少ないですが、民間の保険でアップグレードしているものにはデンタルケアは基本的にカバーされていると思います。欧米系の保険にはカバーされているものが多いです。また、日本の国民健康保険の加入者であれば、海外治療でも保険の一部金還付を申請できます」とシゲタ歯科医院の西原繁太歯科医師は述べている。なお、還付申請の際には、申請書・領収書・診断書(診療内容明細書)が必要となるので忘れずに取得しなければならない。


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