カンポジアの成長産業であるマイクロファイナンス事業に参入し、着実に顧客を増やしているアジアパシフィックファイナンス チェアマンの中澤和則氏に話を伺った。
CBP: まずはカンボジアへの進出を決めた経緯をお聞かせください。
中澤: 多くの日本企業が日本国内市場での限界を感じている中で、我々も海外への進出が不可欠と考え3年前からASEAN各国のリサーチを開始しました。その中でもカンボジアを選んだ理由としては、
①GDPが安定的に伸びていること。
②国内の個人消費が伸びていること。
③労働人口が増え続けていること。
上記3点がカンポジア進出の大きな要因です。
CBP: 様々な事業がある中でマイクロファイナンス事業を選んだ理由は何でしょうか?
中澤: 様々な角度からの検証の結果、不動産事業やホテル運営事業なども候補にあがりましたが、より多くのカンボジア国民に対して雇用面、日系企業ならではのサービス提供など、社員教育や消費者への満足度を兼ね備えていたのがマイクロファイナンス事業だと思い事業選定しました。
CBP: マイクロファイナンス市場の拡大傾向も決定の要因でありましたね?
中澤: 国内外問わず拡大傾向のある市場での起業は必須ですが、もとより欧米資本が投下されているマイクロファイナンス市場に日本企業の参入が少なかったことで、日本企業ならではのサービスや従業員教育を市場流入させたいと強く考えたからです。
CBP: 創業にあたっての障壁はありましたか?
中澤: まずはライセンス申請から付与される期間が想定よりも長くかかってしまったこと。しかしながら政府関係者や中央銀行と根気よく交渉を重ねる中で、日本との文化風習の違いを理解していきました。我々のスタッフも元大手証券会社の役員や元銀行員、元保険会社の内部管理者などを創業メンバーに加えて金融機関の創業に臨みましたが、成長段階のカンボジアにおいても、多くの審査面で関係各所の慎重な姿勢を感じたことにより、この市場での事業拡大をより強く確信しました。
CBP: 現地人スタッフの雇用も積極的に行っていますね?
中澤: 日本人が起業し、日本人だけで運営してもカンボジアに付与できる利益には限界があります。現地スタッフをより多く採用し、彼らを根気よく教育指導していく中で、スタッフ自身のスキルやノウハウを残すことが金銭面以外での利益付与に繋がると考えております。国民性や文化風習の違いを理由にカンポジア人スタッフとの衝突ももちろんありましたが、時間をかけて対話を積み重ねていく中で相互理解が深まっていくことを実感し、今では日本人スタッフとも垣根なく仕事の連携が取れてきています。
CBP: 創業1年目は人材教育に特化した年だったということですか?
中澤: 多くの時間や資本を社員教育に投下したことも事実ですが、会社全体のインフラ構築にも力を入れました。他社との差別化を計る上で、如何に融資を迅速に決済するか?担保審査を迅速に行うか?融資を行った後のアフターフォローをどうするか?支店拡大を狙う上での市場調査をどのように効率化するか?次年度以降の業務推進に必要な要素をあらゆる角度から検証し着手できたと考えます。
CBP: 次年度以降の事業展望をお聞かせください。
中澤: 創業1年で従業員50名(日本人スタッフ含)、店舗数3店舗を達成したことは大きな成果だと自負しておりますが、各支店の独立採算性や地方展開への課題は残っています。全スタッフが一丸となって様々なお客様への融資や資金調達のニーズに応えていきたい。日本に比べて貸出金利が高いカンポジアであるからこそ、この事業におけるサービスレベルの向上や顧客満足度の向上に特化していきたいと考えています。
TOP INTERVIEW トップが語る、カンボジアビジネス(2020/1月発刊11号より) すべてのスタッフを尊重し、全員に対して公平であるよう最善の努力をする(1/3) 2002年にカンボジアに創業したイエローツリー … [続きを読む]
TOP INTERVIEW トップが語る、カンボジアビジネス(2019/6月発刊10号より) シンガポールのビジネスマンが、カンボジアでホテルを運営する理由(1/2) カンボジアの数あるホテルの中でも有数の人気を誇り、サ … [続きを読む]
特別レポート(2017/11発刊7号より) 不燃性マーケット?カンボジア株式市場 〜開設から5年、全く活性化の兆しを見せないカンボジア証券市場。 周辺ASEAN諸国の証券市場の軌跡と合わせて辿る新興株式マーケットの可能性 … [続きを読む]