2016年8月22日
ホン・チユン(以下、ホン) NEAへようこそ。私たちは政府機関です。公的なサービスを提供しています。私たちのサービスは雇用サービスと労働市場の情報提供です。私たちはすべての求職者や雇用主、また人材開発や教育に関わるトレーニングプロバイダーやリサーチャーのような人たちにもサービスを提供します。
私たちの機構は少し新しいです。2009年の終わりに設立され、2010年初めから運営が開始したので、まだ5年くらいです。
私たちはさらに2つのサービスを提供しています。ひとつはオンラインサービス。私たちのウェブサイトに求職者は登録し、職を探すことができます。また雇用主は求職情報を投稿することができます。そしてこのウェブサイトで自動的に求職者と求職情報のマッチングが行われます。職を見つけた求職者は、雇用主とコンタクトを取ることができます。
―――NEAも求人サイトをお持ちなんですね。外にはどのようなサービスを提供されておりますか
ホン もし求人サイトで職を見つけることができなければ、別の支援が必要です。そのときは私たちのジョブセンターを通じ、私たちにコンタクトを取ることができます。
現在ジョブセンターはプノンペン、シェムリアップ、バッタンバン、スヴァイリエン、プレイベン、コンポントム、タクマウ、カンポットにあります。今年さらに2つのジョブセンターをバンテアイミエンチェイとプレアシアヌークに設立する予定です。求職者と雇用主の必要性に基づき、年2つずつ設立するペースで、カンボジア国内すべての州にジョブセンターを展開して行きたいと考えています。時には資金が無くて1つだけになったりしますがね。
―――日本のハローワークのようなサービスですね。そもそも職業的な教育が必要な人材も多いと思いますが
ホン 私たちは教育やトレーニングのプロバイダーにもサービスを提供しています。彼らはウェブサイトやジョブセンターでコースについてアナウンスすることができます。なぜなら求職者と雇用主がマッチングするのは非常に幸運なことであり、たいていはそうはいきません。たくさんの問題があります。トレーニングやカウンセリング、キャリアガイダンスのようなものが必要です。求職者が私たちのもとに来る時、どのようなサービスが必要なのかを精査します。どのような職が彼らにフィットするのか、そして彼らがどんな仕事をしたいのか見つけ出すよう努めます。
―――なるほど。外には何かされておりますか。
ホン 私たちは労働市場の情報提供も行っています。現在、未来の需要供給について評定を出します。これはとても難しいです。たくさんトレーニングを受け経験を積んだたくさんのスタッフ、そして適切な情報が必要です。今のところ私たちはこの領域においてまだ初期の段階であり、開発の余地があります。
現在私たちはJICAと協力関係にあり、また、CIDA(カナダ国際開発庁)やその他2つの産業労働組織のサポートも受けながらこの市場予測を適切に行うよう努めています。私たちの機構は新しいものですが、他の国にあるよくできた機構でも、技術的・方法的に未来の予測は難しいです。こういったサポートを受けた市場予測は今年からです。
これまでも求職者や雇用者の登録データからやっていましたが、本当の予測ではなかったと思います。これは言うならば写真全体の一部にすぎないのです。一部の流れはわかりますけどね。これからは登録情報を使って、教育を受けた人々の需要と供給に焦点を当てたいと思っています。
―――カンボジアの労働人口の現状を教えてください。増加や変化はありましたか
ホン カンボジアは人口が増加している国です。労働人口も増加しています。人口の減少が問題となっている日本とは違うでしょう。カンボジアの人口は、2025年くらいまでは増加を続けるでしょう。人口の変化は死亡率に深くかかわっていますが、現在カンボジアの死亡率は急速に低下しています。人口比の側面から、2045、2050年まで低下が続くでしょう。しかし他の、カンボジアよりも先にこの状況を経験した国を見るに、この問題はすぐに変化すると思います。
―――労働人口が増加している一方で、カンボジアはスキルワーカーの不足が指摘されています。その労働人口というのは本当にスキルを持っていたり、働く意欲のある人たちの人口なんでしょうか
ホン それはどういったスキルを求めているかによると思います。明らかに、カンボジアは質の低い教育を受けた人たちがたくさんいます。しかし例えばただ組み立て作業をするワーカーを雇いたいだけなら、必要なトレーニングは少しだけです。しかしもし高い分析能力などの高いスキルを求めるなら、たくさんのトレーニングが必要でしょう。スキルのない労働者は供給に余剰があります。しかし中間層のスキルワーカーは供給が追い付いていません。一方で科学やテクノロジー、数学など非常に高いスキルを持つワーカーは供給に余剰があるのです。
しかし私はこの全体像は変わると思います。なぜなら現在政府によって多大な努力がなされているからです。私たちは特に中間層に対するスキルトレーニングへの誘引システムを、私たちの投資へと連結させようとしています。
そして各産業の調和も高まっています。すべての産業の代表が集まって産業の工場をサポートするためにスキル開発に焦点を当てようとします。なぜなら政府がただスキルトレーニングを提供するだけでは、中間層のスキルワーカーを育てることは難しいです。他の国でもこのような高いスキルと雇用の問題があります。これも私たちが注意しなければならない点です。(取材日/2016年4月)
(次回へ続く)