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特別レポート(2019/06発刊10号より)
観光の視点から考える対日本マーケット戦略(1/3)
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2000年から現在まで、カンボジア観光客の増加状況

 カンボジア首都プノンペンから国道5号線に沿って北西に約300キロメートル、タイとの陸路交通の要衝に位置するバッタンバン州は、古くからカンボジア第2の都市と知られ、国を代表するライス・ボウル(米作地帯)でもある。バッタンバン州産のコメはその香りの高さと美味しさで知られ、他州産よりも高値で取引される。

special-report-0801 カンボジア観光省が外国人訪問者数の統計調査を開始し、国別データが現在も残っているのは2000年からとなる(外国人旅行者総数は1993年より残っている)。当時、カンボジアに訪れていた外国人旅行者総数は6万6365人となっており、第1位はアメリカ、2位中国、3位フランス、日本は5位1万9906人(4%)となっている。しかし2002年には日本が1位(9万6796人)となり、2位にアメリカ、3位にフランスと続いている。その後、2004年には韓国が首位となり、日本は2位に後退、毎年順位は下がっており、2015年より7位を維持している。

 しかし、日本人訪問者数を見てみると、順位こそ下がってはいるが、訪問者数に関しては(一部小さな下落はあるものの)年々上昇傾向(2018年度は21万人)にあり、単純に他国の訪問者数の増加が著しいことに気づく。上位国としてはアメリカ、フランスを除くと、中国、ベトナム、韓国、ラオス、タイなど比較的近隣にあるアジア諸国からの訪問となっており、この数字から、ここ20年でアジア諸国の所得が向上し、海外旅行を楽しめるようになってきたことが見受けられる。

 また、最近の訪問者総数とランキングを見ると2017年には中国からの旅行者が急増し、旅行者総数560万人中120万人(約21%)となったが、2018年度には620万人中、200万人(約32%)となっており、カンボジアに訪れる外国人旅行者のほぼ3人に1人は中国人という状況となっている。

急増した観光客をめぐるカンボジアの観光事情

  近年の中国人訪問者数の増加を受け、カンボジア観光省は2016年にチャイナレディ計画を発表した。UNWTO(国連世界観光機関)が提唱している、中国人アウトバウンド旅行者をいかに各国で受けいれるかという様々なアイデアをベースに、官民で協議したマスタープランであり、その内容には中国語ガイドの育成、宿泊施設や飲食店を含めた観光地での中国語表記、観光ガイドブックの制作のほか、中国語教育の推進、省庁への中国語人材の登用、入出国カードへの中国語表記なども含まれている。

 これは、カンボジア観光省にとっても大きな方針転換であり、これまで日本を含む先進諸国が訪カンボジア促進重点国だったが、現在では中国を最重点国として位置づけたことを意味する。

 事実、年間訪問者数は、中国が200万人に対し、日本、韓国、アメリカ、フランスを合わせても中国の半分にも満たない(約93万人、日本人訪問者数単体だと9倍)。

 一方で、中国人の観光客や投資客の急激な増加に伴う問題が顕在化している。例を挙げると、文化の違いによる宿泊施設や飲食店でのマナー問題、中国人経営の土産物店でのぼったくり価格での販売などと、これによる中国人以外の外国人観光客に与えるカンボジアへのネガティブなイメージ問題、また旅行者の中国人経営の宿泊施設、飲食施設の利用により、現地にほとんどお金が落ちないような旅行システムなどが報告されている。



  西村清志郎
Nishimura Seishiro

カンボジア在住歴15年、旅行会社、出版社、宿泊施設運営などずっと観光業に携わっており、現在はJICAシニアボランティアとしてカンボジア観光省プロモーション&マーケティング部アドバイザーとして配属されている。主な業務はカンボジアへの日本人観光客、視察、学生ツアーなど誘致、広報活動などとなっている。高知県出身、45歳。

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