2016年12月16日
――自己紹介をお願いします
キム・へアン(以下、キム) キム・へアンです。クメールリアルエステートのCEOで、カンボジア不動産協会(CVEA)の会長をしています。クメールリアルエステートは2007年に設立されました。カンボジアで毎年安定的な収入のある不動産会社のうちのひとつです。一般に良く知られているわけではありませんが、不動産業にフォーカスしたプロフェッショナルです。
――御社について教えてください
キム 弊社には3つの事業があります。不動産査定サービス、不動産コンサルティングサービス、融資サービスです。
不動産査定サービスでは中国とベトナムの企業に注力しています。弊社は2000万ドル以上の価値のある土地を扱う会社のうちのひとつです。カンボジアへ進出や投資を検討する外資企業のほとんどが、政府からの許可を得るために提出する届出書類準備の手伝いをしている弊社を検討します。海外投資家のほとんどは、ホテルやコンドミニアム、アパートメント、工場や経済特区の建設のために不動産購入を検討します。
中国本土、台湾、ベトナム、また一部の日本人が弊社の主な顧客です。日本人のお客様は、他国のお客様に比べて決定までに時間をかける傾向にありますね。好機を逃す可能性があるので、日本人のお客様には、不動産購入にあたって迅速な決断をするようにとアドバイスしたいと思います。
2つめに、私は不動産コンサルティングにおいて10年以上の経験があります。自分の会社では6年間です。私は投資家や学生に対し、カンボジア不動産業界の成長と発展の動向に目を向けてもらうため、ゲストスピーカーを呼んで彼らの経験を共有してもらうセミナーを毎月開催しています。海外投資家からは1時間100ドルを頂戴していますが、ローカルの投資家からは頂いていません。
3つ目に融資サービスですが、すでに土地を持っていて緊急に資金が必要な人々をターゲットにしています。様々な書類が必要だったり手続きに時間がかかり過ぎるために銀行から融資を受けたくないという方がいますので、そういった方々が弊社に、銀行から融資を受けるための書類準備のために来ます。
――プノンペンの地価はかなり上昇していますが、将来的に地価はどうなっていると思いますか
キム カンボジア全体の人口が約1600万人、そのうち70%は36歳以下で、プノンペンの人口は約300万人です。20万人~30万人が毎年教育や就職、ビジネス目的で地方から移住してきます。私は、今後5年間でプノンペン人口が400万~500万人に増えると予測しています。この人口増加が土地価格を、特にプノンペンの地価を、徐々に吊り上げています。
――どのエリアの地価が最も高いでしょうか
キム 河沿いに近く居住する外国人も多いため、プノンペンで最も地価が高いのはリバーサイドエリアとニューマーケットエリアです。
――外国人がソフトタイトルで物件を購入できなくなったという報道がありましたが、これはどういうことでしょうか
キム カンボジアの法律によれば、外国人が購入できる不動産はコンドミニアムで、しかも1階以外の部分だけです。ドーンペン地区では、外国人がフラットのことをコンドミニアムだと勘違いしているので、みんなフラットを購入してしまうのです。これはカンボジアの法に反しています。
コンドミニアムは10~20階建てで、広い土地、駐車場、建設許可のある建築物のことと法律で決まっています。ですが多くの人が法を曲げてしまっているために、カンボジアでの不動産購入に影響のある法を通過させたということです。
――どの国の投資家が最も積極的ですか。カンボジア人投資家は物件を購入するのでしょうか
キム 中国人は他のどの国に比べても、カンボジアに住んでビジネスをする人が多いです。中国人と一言で言っても、様々な人がいます。カンボジアへ来てプノンペンでレストランやゲストハウスなどを経営する人が多いですね。次に、貿易に特化した会社を設立する人も多いです。そして、政府から資金援助を受けて鉱業や水力発電、林業などのビジネスを始める人がいます。政府の援助でこういったビジネスをする人は、たいてい他の州に住んでいます。
カンボジア人で物件を購入する主なクライアントは閣下と呼ばれるような方々で、1000万~2000万ドルの不動産を購入します。ですが、将来的により多くの収益を得るために市場へ売りに出すまでキープされていますね。(取材日/2016年8月)