(前回の続き)
――カンボジアにいる上で必要な保険を教えて下さい
チア・サムナン(以下、チア) まずは、賠償責任保険です。個人の日常生活、あるいは企業の業務遂行中の偶然な事故により、第三者に対して過失があった場合、賠償金の支払や負担する費用を填補する保険のことです。もし日常で車を使用する場合、この保険には加入した方が良いと思います。
次に多いのは、建設保険です。どの建設現場でも保険加入が義務付けられています。また保険ではありませんが、カンボジアでは8人以上を雇用する企業には、社会保障制度の適用が義務付けられています。業務中の事故などを補償する制度です。来年には、政府の働きかけでこの社会保障制度はより拡大するでしょう。
――保険業界における競争状況について教えて下さい
チア カンボジアは成長も開発も早く、どの業界でも競合の参入に直面しています。我々は7つの一般保険のライセンスを持っており、昨年、7つの保険会社を取り扱える代理店になりました。この業界は自由市場です。そのため信頼やサービスの質で選ばれます。競合がいると言われれば、そうです。しかし、競争は良いことです。なぜならば、お客様は我々のベストなサービスを選ぶことができるからです。
――保険に関する特定の法律やルールがあれば教えて下さい
チア もちろんカンボジアでも法律による各規制がありますが、しかし保険業界は黎明期のため、これから法律の改変や開発も大いにあり得るでしょう。まだ行われてはいませんが、消費者や利用者を守るため、優先順位は高いです。例えば、難しい言葉を排除して、使用者に分かり易く簡略化するなどですね。この業界は確かに若いですが成長も早いので、消費者を守る法律が必要となります。スタッフも法律について勉強して知識を付け、お客様に適切なご案内をすることが必要です。
――どうしたら、質の高い保険会社や保険代理店を選べるでしょうか
チア 我々のビジネスの特徴として、100%お客様の状況によります。どんな家に住んでいるか、どんな仕事をしているか、家族構成や収入など。お客様の環境や生活スタイルを勉強し、それに合わせてリスクを分析し、適切な保険を見極め、お客様にご提案します。しかし、お客様には1つの保険規約ですら読む時間がありません。7社であればどうでしょう。我々に任せて頂くと、7社からお客様にとってベストな選択肢を提供することができます。
我々の業務は、日々規約を読み込み勉強することです。その中で他社と比較し、お客様にとって大切な部分に要点を絞ってご提案します。例えば、A社とB社保険会社があったとして、同じ保険内容ですが期限が違います。ここで、プロフェッショナルな代理店であれば、期限の違いがどのような違いを及ぼすかを説明します。我々にはタイにパートナーがあり、そこから同じようなケースを抽出し、シュミレーションを行った上で最適な保険を提案することができます。
――ibsカンボジアの将来の見通しを教えて下さい
チア 将来的には、我々はお客様へソリューションを提案したいと思います。我々の辞書に「解決法がない」という言葉はないのです。我々はローカル保険や国際保険も共に扱っており、ローカル保険で求めているサービスが見つからない際、国際市場から探してくることも可能です。時にお客様にとって革新的なサービス内容もありますよ。
国際的な代理店であれば、リスク分析や保険料の算出、将来的に貰える金額など全て数値化出来ますが、カンボジアの代理店は始まったばかりなので難しいでしょう。我々は、代理店として高額請求をすることなく、A社B社C社の様々な保険の中からベストな提案をすることができ、お客様による保険選びを容易にします。
我々が大事にしているのは、お客様と長期的な関係を築くことです。お客様は我々にとって大切なパートナーです。弊社はマーケットシェアを取りたい訳でも、利益を上げたい訳でも、一番になりたい訳でもありません。我々が目指しているのは、信頼できる保険アドバイザーとして長期的にお客様とパートナーシップを築くことだけです。
ibsカンボジアには、社内で、社長やマネージャーといった役職が無いんですよ。何か困ったことがあれば、私にだっていつでも電話して欲しいという気持ちの表れです。我々はいつでもお客様の傍にいたい。我々がここにいるのは、ただお客様のためなんです。
(取材日/2016年9月)