2017/04/12
――これまでのキャリアを含めて、自己紹介をお願いします
チア・サムナン(以下、チア) 私は、2015年12月に設立されたインシュアランス・ブローカー・ソリューション株式会社、ibsカンボジアのマネージングダイレクターです。働き始めてからずっと保険業界に携わっており、特に、アドバイスやコンサルティング、お客様の利益の最大化を役割としてきました。保険はリスクマネジメントの一部なんです。リスクマネジメントとは、リスクをコントロールして、防いで、移動させる、これはリスクを保険会社に移動させるという意味です。
保険業界は、サービス内容や事業内容、その難しさ、信頼や顧客との関係性など、他の業界よりもよりプロフェッショナルな努力が求められると思いますね。例えば、パンを買うとき、お客様はパンそのものにお金を払います。しかし、保険はサービスのため、お客様は何にお金を払っているか分からないのです。特に生命保険は本当に支払われたかどうか、本人には分かりませんよね。見ることができないし、感じられない。その点から、生命保険は非常に難しいと思います。
保険業界でのキャリアは2005年からなので11年になります。2005年の大学生の時、夜間学校に通いながら営業スタッフとしてアジアインシュアランスに就職しました。家から家へと「保険を買いませんか?」と言って売り歩いていましたね。同期は4人いましたが8年後には私以外の全員が、NGOや銀行に転職して辞めました。でも私は今まだこのキャリアにいる。この業界は伸びると思ったんです。それからしばらくして、マレーシア資本の大手保険会社ロンパック社に転職し、そこで1年働いた後、転機が訪れました。
インフィニティ保険会社が法人営業開発の人材を探しており、2011年初め、インフィニティにシニアセールスエグゼクティブとして入社しました。ここでは、これまでの保険業界でのキャリアを総動員しましたね。とても実践的な経験を手にできました。インフィニティはオーストラリアやニュージーランドと財務保険のパートナーを結んでおり、質が求められたからです。
――保険業界における国際的なご経験は、どのように現在生きているのでしょう
チア 保険業界には私が知る限り、2つの大きな保険制度があります。1つがイギリス系譜のマレーシアのシステム。もう1つはオーストラリアやニュージーランドのシステムです。保険業界ではどちらかのシステムを選びますが、互いに転換するには経験が必要で、地域毎の特徴や国際的なシステムを理解している必要があります。私は両制度に携われてとてもラッキーでしたね。なので、我々の業務は日々学習です。学んで、上達して、実践的な方法を取り入れます。
その後、インフィニティのセールスマネージャーとして様々な地域を回る機会を得て、ベトナムやタイ、シンガポールの保険市場を調査し、その土地の代理店はもちろん国際的なお客様の対応をしました。
仲介業者について考えたのはその時です。当時海外には仲介業者という仕組みがありましたが、カンボジアにはまだ無いか、本当に少なかった。カンボジアでは、お客様が保険に加入したいときは保険会社に直接連絡をしていましたが、他国では、仲介業者に連絡をしていました。同じ流れがカンボジアにもすぐ来るだろうと思いました。カンボジアの保険業界は年々成長しており、益々複雑になるでしょう。お客様は、自分の時間を犠牲にしてまで規約を読み込む時間はありません。そこでお客様は全てを理解している専門スタッフが必要になり、代理店にその仕事をさせるのです。その結果、お客様は自分の仕事に注力することが出来ます。
それから2015年終わりに、現在のパートナー、マレーシア、インドネシア、イギリスにオフィスを構え、タイに本社を持つFBICに出会いました。プロフェッショナルな代理店は、トレーニングにより品質を高め、お客様のニーズを知り、クライアントの課題を分析して解決方法を提案します。お客様にそんなサービスを提供する代理店を作りたいと思い、今ここにいます。
我々は保険によって違う商品を取り扱い、保険を必要とする全てのお客様に向けたサービスに尽力しています。しかし、カンボジアの保険業界はとても若く、保険について十分に信用していないカンボジア人も多いです。彼らは保険の仕組みをよく分かっておらず、お金を払って本当にワークするのかという心配の声も多い。なので、カンボジアではまだ個人向け保険は効果的では無いですね。
(取材日/2016年9月)
(次回へ続く)