2015年8月13日
――さっそくですが、HBS LAWについて教えて下さい
リ・タイセン弁護士(以下、リ弁護士) HBS LAWは2005年に設立された総合法律事務所で、カンボジア王国弁護士会に所属しています。現在ではカンボジアで最も大きい法律事務所の1つです。カンボジア人に加えて、アメリカ人、イギリス人、カナダ人及び日本人を含む約20名の弁護士が在籍し、リーガルアドバイザーやアシスタントを含めると約50名のスタッフがいます。カンボジア語、英語、日本語、フランス語、中国語、ベトナム語など多言語での対応が可能です。
業務内容は会社設立、投資対象案件の調査・分析、M&A案件、契約書のドラフト、カンボジア法制度に関する意見書の作成、株式上場のサポート、民事・刑事の訴訟、民事保全・強制執行等幅広く、またクライアントの60%から70%は欧米諸国やシンガポール・韓国・中国・日本などアジア諸国の大手企業です。
HBS LAWはジャパンデスクを設置しており、2015年1月から日本の弁護士である松原禎夫弁護士がジャパンデスク・チーフを務めています。ジャパンデスクには、松原弁護士に加えて、日本の大学への留学経験があるカンボジア人の弁護士・アシスタントが常駐しています。
――ありがとうございます。昨今の法律コンサル業界を取り巻く環境、特にワークパーミットの問題についてはたくさんの読者の皆様が悩まれていると思いますが、これについて教えて頂けますか
リ弁護士 近年、外国資本によるカンボジアへの投資が増加しています。イオンを始めとする大手日系企業の進出も目立ちます。投資前に慎重な調査を実施する日系企業の進出は、他国からの投資を呼び込む効果もあるのではないでしょうか。また法律事務所業界としては、事務所の数も増えそれぞれの質も上がっています。特に私たちの事務所のように多言語対応している事務所は強いと思います。
最近は法律事務所の需要自体も上がっていると感じます。投資の活発化に加えて、カンボジア人の間にも法律事務所の役割に対する理解が浸透してきたことが理由ではないでしょうか。競争は厳しくなっていますが、私としては競合他社の成長に刺激を受けますし、クライアントにとっては選択肢が増えて良いことだと思います。一方、カンボジア王国弁護士会に所属せず違法に弁護士業務を行っている外国人経営の法律コンサルタント事務所も多く、これらに対しては、適切に規制する動きもあります。
リ弁護士 近時、労働許可に関する政府の規制が厳しくなっています。労働許可について規定する労働法は1997年から施行されていますが、その実施は必ずしも厳格ではありませんでした。そのため、多くのカンボジア及び外国企業は、厳格な規制の実施に戸惑って、現在、労働許可に関する対応に追われています。HBS LAWでは、このようにお困りの企業を全力でサポートしています。(後編へ続く)(取材日/2015年3月)