2016年3月14日
(前編からの続き)
――コンドミニアム市場の今後をどのように予想していますか。またその理由を教えてください。
ミース コンドミニアムはカンボジアの不動産市場で最も注目すべき投資であり、その理由は主に4つあります。一つ目に、多くの投資家はASEAN経済統合に伴いカンボジアに移り住んで働く外国人居住者が増加することを見込んでいます。
二つ目は、土地価格の急速な上昇によって、不動産を購入できる中間層家族や若い共働きの夫婦が、集合住宅の戸建てよりもコンドミニアムを選択するケースが増えていることです。
三つ目に、プノンペンの過密化が進むほど、郊外に住むカンボジア人や外国人は平日に家族で住むために都市部のコンドミニアムを購入、または賃貸せざるを得なくなることです。そうした人たちは週末のみ郊外の自宅に行き、リラックスするという生活になります。
最後に、現地ではコンドミニアムをより手頃で文明的、かつ安全で快適なライフスタイルとして好ましく捉える傾向が高まっていることです。しかしながら、例えば3年程先の近い将来を考えると、高級コンドミニアムはユニット価格が高額なため十分な買い手が見つからないという問題に直面する可能性が高いです。一方で、比較的安価な中級クラスのコンドミニアムではカンボジア人の買い手の持続的な需要を見込めるでしょう。
―――コンドミニアムや土地への投資機会を探している日本人投資家に対して、何かアドバイスをお願いします。
ミース カンボジア人は日本人投資家の方々を最も好ましい投資家の一人として歓迎しています。なぜなら、彼らは投資に対して真剣であり、現地のパートナーの満足度も非常に高いからです。個人的な意見としては、まだカンボジアに来たばかりでコンドミニアムや土地への投資機会を探っている日本人投資家の方々は、まずは専門の不動産会社又はコンサルタントを見つけてアドバイスを受け、フィジビリティスタディ(F/S)を実施すると良いでしょう。
次に、ビジネス経験があり有能で信頼のおける現地のパートナーを見つけることです。コンドミニアムへの投資であれば、より多くのカンボジア人の買い手の手が届くような中級クラスのコンドミニアムを検討すべきでしょう。また、土地への投資を考えている場合には、カンボジアで外国人が土地を保有するための法的な手続きを明確に理解することが重要です。例えば、土地保有会社を経由する方法や、現地パートナーとジョイントベンチャーを設立して土地を保有する方法などについてです。
―――カンボジアに法人を設立することを計画している日系企業に対して、アドバイスをお願いします。
ミース どのようなビジネスを開始するかに関してその分野と種類を特定したら、会社設立とその後の問題を避けるためにも、まずは信頼のおける法律事務所を見つけるべきでしょう。実のところ、カンボジアで法人を設立することはそこまで複雑な手続きが必要な訳ではなく、商務省へ行って登記申請を実施し、ビジネスに関係する省で必要な登録を済ませる、というのが基本的な内容です。
カンボジアでは未だ法的な枠組みが未整備な点も多く、改善の余地があります。それゆえに会社設立の段階から、法律の専門家に助言を受けながら進めていくと良いでしょう。(取材日/2015年9月)