――業界誌「コンストラクション&プロパティ」について教えてください。
ミース・プロックサー(以下、プロックサー) 「コンストラクション&プロパティ」はカンボジア建設協会(CCA)のサポートによって発刊している、英語とクメール語によるフリーペーパーです。カンボジア、および東南アジアの建設や不動産のニュースや情報を扱っています。また、CCAの活動やイベント、ニュースなどもとりあげています。創刊したのは2013年の1月で、メインターゲットは建設会社、デザイナー、建築士、サプライヤー、技術者、不動産会社、銀行、保険会社など建設・不動産業界に関係のある方々です。各月の発行で、各号5000部を発行・配布しています。それに加え、データ版の配信も行っていて、2万通以上のダイレクトメールを送っています。コンテンツは主に建設、建設協会、不動産の3つのセクションから構成されていて、現在のカンボジアの業界についての情報をお届けしています。これは日本人の方々にとっても、生活・ビジネスの両方の面で有益なものだと思います。また私達は、JICAを始め、多くの日本の会社とも意見交換を行ったり、ビジネスのサポートをしたりしています。
――CCAについて教えて下さい。
プロックサー カンボジア建設協会は、建設会社などによって構成される非公的な団体です。2011年の末頃に設立され、現在では建設会社、サプライヤー、銀行、保険会社、デザイン会社、不動産会社など66のメンバーが加入しています。CCAはカンボジアの建設に関する会社を集め、建設業界の発展を通し、政府を支援するために設立されました。
――現在の建設業界についてお聞かせください。
プロックサー 2009年に収束した世界的経済危機の後、カンボジアへの投資の経済的ポテンシャルも相まって、国の建設業界は急速に発展しています。昨年の半月同様、今年の上半期の建設への投資増加率は20%を超えました。これは、周辺国と比べてもかなり高い割合です。外国人長期滞在者向けのマンション、国内の中間所得層増加のニーズに応えるための住居、より高所得層へ向けた超高級コンドミニアム、これらの建設の増加はとても顕著です。道路や橋などのインフラの整備も目まぐるしく行われています。大きな建設会社はローカル系、外資系を合わせても30社に満たないくらいだと思います。
――周辺国との違いなどはありますか。
プロックサー 家賃などを含めた、不動産の価格は未だに周辺国と比べると安価なままです。タイやベトナムなどと比べると、政治の安定性、経済の将来性、低賃金、チャイナプラスワン政策などの、ビジネス的優位性はカンボジアへの投資の引き金となっています。ただし、建築士や、技術者、デザイナーに関しては市場に程よく供給されていますが、中間技術層のスタッフが不足しており、建設の労働者に関しても同じような問題があります。季節労働者が多く、乾季には建設現場で働きますが、雨季には故郷にもどり農業に従事するのです。建設現場間での人の動きも多く、それによって建設会社は労働力に関して頭を悩ませています。また、タイの賃金増加によって労働力がタイに流れてしまうこともあります。カンボジア人労働者の性質は、友好的でお互いを敬いあうことだと思います。また、カンボジアはごく僅かな資材は国内で調達できますが、ほとんどが海外からの輸入に頼っているのが現状です。周辺国と比べると、石や煉瓦、砂などは安価で仕入れることができます。
――今後の建設業界の展望はいかがですか。
プロックサー もし政治の安定性が保証されれば、約7%の年間経済成長率も保たれ、建設業界も健全なスピードで発展していくと思います。これまでとは違い、どのプロジェクトも需要を基礎として進んでいくでしょう。需要がなければ、どんな建設もおこなわない、そうすれば建設業界の成長も安定的だと思います。(取材日/2014年9月)